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世界で一番美しい夜 (2007/日)(天願大介) 70点

2008-06-13 16:02:55 | 映画遍歴
不思議というべきか何か型破りのトンデモ映画を見てしまった感が強い。最初はアニメから始まり、ゆったりと閉鎖的な土地に起因する土俗的現象を左遷された記者の目から眺めていくハナシかなと思っていたら、途中からどんどん脱線し、いかにもマンガチックで奔放な文明論になってしまい、超驚きました。

セックスをしている時と言うのは人間、無防備である。ということは安静なひと時でもあるとも言えるだろう。人間がセックスさえいれば平和で安心できる世界が生まれるのだ、というテーゼである。そこには戦争もない。争いもない。テロなんか発生しない、、、。

2時間30分、ところが意外やこの映画、退屈しないのであります。馬鹿馬鹿しいけれど眠くはならない。本当にこの映画を見てセックステロなんて考える御仁はいないだろうが、何かここまで時代が窮屈になってきたら、この映画を荒唐無稽だと切り捨てるのも忍びない気がする。

天願大介は父今村昌平と違ってどろどろしたものは感じない。あっけらかんとして、むしろ爽やかだ。だから強烈なセックスシーンでもコメディ的でよくある情念というものを感じない。田口トモロヲは最後に蛇に変身してしまったが、結構おかしくも悲しいものがあった。映画は「パヒューム」を意識しているところがあったり、今村昌平の島論を思い浮かばせるところがある。まあ、一見の価値はある映画だ。

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