センスのいい洒落た演出。この作品は演出家と役者冥利でもある落ちて行く女を見事演じ切る女優との格闘劇だ。日本であれば杉村春子が演じるような新劇のような題材を、見事現代のアメリカに見据えるその意味とは、、。
虚像の世界にこそ居る場所があると思っている女に凡人たる吾輩は何の関心もないが、この映画から我々は何を学べばいいのだろうか、なんて知ったつもりのことを言うつもりはない。
この映画から人生の何かを感じ取ろうという行為はまったく馬鹿げていると思う。2時間見ていて面白かったのは、ジャスミンのいる場所が全くどこも存在感がなく、むしろ空気が薄く、彼女の存在でさえも(文字通り本当の意味で)浮いてしまいそうなこの映画。
かといって、周りの人々がしっかりと生き生きしているわけでもない。ただ泡のような得体の知れないものに憑かれている人間から見れば市井の人間たちのつまらないこと、、。
この映画は虚体の人物から見たヒトの営みは虚妄でしかないとでも言っているようでもある。
アレンの新たな新境地であると同時に開き直りである。いわば長年ヨーロッパを放浪し本土に戻ってきたアレン。むしろ「窮鼠猫を噛む」状況から生まれた作品ではないのか。
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