山下もあれよあれよという間に大家の風格が出てき始め、映像に無駄がない。昔だったらこの題材で、しかもド大阪を描くことになるわけだから、もっと遊びの部分があっていいのだが、きちんと映画というものを撮っています。あの自由な「ばかのハコ船」「リンダリンダリンダ」時代が懐かしい。
導入部。出所するポチ男の表情が冴えない。無表情だ。組に引き取られ、しかしすぐ誰かに頭部を暴行される。お決まりの記憶喪失。そして彼は束の間の、ピュアな人生体験をする。
それだけの映画なんだが、なかなか優れている。だんだん記憶が戻ってきてワルに戻るさまもリアルである。意外と関ジャニとはいえ、すばるはいいものを持っている。あの、ラスト、自分を解放する瞬間の表情、本当にいいショットであった。
でもそうすると、僕には冒頭の出所前のポチ男の無表情の意味が分からなくなった。ムショを出る、ただの憂鬱感だったのだろうか。結構カメラは回っていたので気にはなったのだ。
欲を言えば、カスミにもうちょっと焦点を照らしてもよかったのではないか、とも思った。二階堂ふみをして、あの脇役ぶりはもったいない。
またこの題名でもある今話題の「味園ビル」が通り一辺の映されかたで(ビル内のバライティに富む店の光景が全くなし)少々肩透かしであります。いい素材があるのになあ、、。
映画とともに成長してきた山下。また「リンダリンダリンダ」のようなはかない青春の息吹を感じる映像に戻るのはもう無理なのかなあ、、。ファンとしてはもっと自由な作品も期待しております。
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