東京裁判三部作・第三部・『夢の痂』を観てきました。
一言で言えば、昭和22年頃、天皇の行幸にまつわる話。
私は、この物語にでてくる日本語についての話が好き。
「てにをは」の事や、「日本語には主語がない。主語を隠すしかけがしてある・・・』という文法についての話がとても面白かったし、興味深かった。
井上さんの作品は必ず、日本語についての解釈がどこかに入る。それが楽しい。こうやって勉強できたら、すっごく楽しいだろうな~~と思う。
ただ、どんだけ楽しく面白かったかが、人にうまく説明できない自分がいて、ちょっと情けなくなったり、悔しくなったりもする。
大切なメッセージをもらっているはずなのに、ちゃんと受け取っているだろうか・・・・と考える。まだまだ不安だから、再演があったらきっと必ず足を運びたくなる芝居だと感じている。
終演後、演出の鵜山さんと出演者の辻さんのトークショーがありました。司会の方も入り、たっぷり1時間。井上作品を語ってもらいました。
辻さんがお話されていましたが、『父と暮らせば』に並び『母と暮らせば』の構想があったそうです。辻さんが息子役で、母が栗田桃子さん。『父と暮らせば』の逆で、舞台は長崎。母は亡くなっているので歳をとらない設定だったそうです。
もう実現することはないのですね。1時間のトークショーの端々に、新作がもう演じられない無念さ、悲しさが感じられました。きっと井上さんが一番悔しがっているのかな~~~。
だからこそ、これからもこまつ座・井上作品をたくさん観劇していきたいと強く思いました。