ぷ~さんのブログ

観劇、読書、趣味の手作りなど、日常で感じたことを書き込んでいきます。

読書20(神に守られた島)

2022-09-12 00:00:35 | 読書
中脇初枝さんの『神に守られた島』です。

戦時中の沖永良部島での話。
子どもの目線から戦争が描かれています。

こんな小さな島でも空襲があったことに少し驚きました。

電気も通ってない島、ラジオもないので情報が入ってきません。沖縄が攻撃を受けている音は聞こえてくる。

夫や息子を送り出す。戦死すると、神になったと奉られる。
出征しなくても、塹壕掘りに駆り出されて、銃撃をうけて死んでしまう。
それでも「戦争だから仕方ないよね」と慰め合う。その言葉の裏には、自分達も生きていない、戦争だからという思いがある。
ところが終戦。自分達もいずれは亡くなるから、戦争だから仕方ないと思っていたのに、生きながらえてしまった。
亡くした人達への悲しみがふくれあがって、本当に悲しかった。

ある日、特攻機が不時着する。兵隊さんは人形を持っている。挺身隊の女子が「頑張ってください」と渡してくれたもの。
女子は普通のこととして渡しているけれど、兵隊さんにとっては呪いの人形だという。立派に死んでくださいの意味だという。

戦後、女子たちは自分のしてきたこと、兵隊さんを思ってしたことが間違いだと気がついたとき、これほど悔やむことはないのではないか…

夫を亡くした妻の気持ち
息子をなくした親の気持ち
親をなくした子どもの気持ち
家族を残して死んでいく若者の気持ち
忘れてはならない。
戦争からは何も生まれない

戦後は食べるものが手に入らず、沖永良部島もアメリカの占領下におかれる。

最後に主人公の少年家族は、密航という形で島を出ることになる。
この家族が無事に本土について、幸せに過ごせることを願わずにはいられなかった。
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