「逃げ上手の若君」、公開されてさっそく大変な話題となっているようで良き良き。この作品については、足利尊氏や楠木正成などではなく、北条時行という一般人からすれば「誰やねん?」という人物にスポットを当てた点が新しいが、若君の描き方やその受け入れられ方からして、個人的には牛若丸(義経)ポジションを意識しているのかなと感じた。つまり、貴種流離譚と判官びいきをその柱にしていることである(この辺は原作や作者インタビューを読んだわけではないので妥当かはわからないが)。
こういう意識をもってこの先も見ていきたいと思う。では、「逃げ上手の若君」とは単なる二番煎じなのかと言うとそうではない。緩急のある優れた筆致により、中世社会のカオスをちゃんと描ききっているところもまた、この作品の大きな特性・魅力なのである(一話で言えばギャグと大量の死。なお、大量死については、米原旅行の時に触れた蓮華寺などがその一例だ)。それは、笑いや喜びと隣り合わせで、殺戮や哀しみが存在するという狂騒の世界だ(時代は下るが、その端的な姿として以前『喧嘩両成敗の誕生』を紹介した)。
そもそもこれまで、武士も幕府も、極めて強いバイアスの元に理解されてきた。それは即ち、太平の世になって生み出された「武士道」であったり、あるいは近世や近代のような「主権国家」=政権が国家を一円的に支配しているというフィルターを通した世界観だが、実際には権門体制や荘園公領制に見られる分権的構造や前掲書でも触れられる自力救済の仕組みなど、全くそれらとは異なる原理で動いていたのである(鎌倉まで行って裁判に勝っても差し押さえはセルフサービスとか、『十六夜日記』を著した阿仏尼たちもさぞ大変だったことだろう…)。
例えば戦国時代や幕末の人気というものも、こういったバイアス=武士への幻想などの元でかなりその実態の残酷さや愚昧さ(その一例が天狗党にまつわる内輪揉め)が間引かれた上に成り立ってきたが、「逃げ上手の若君」のようなそれに掉さす作品が訴求力の高いエンタメの世界から表れたということは、大変喜ばしいことだと思う(少し前に日野の新選組関連資料館を巡ってきたが、橋川文三や片山杜秀などを絡めつつ、この話は近いうちに書くつもりでいる)。
「実態を知る」と言うと無味乾燥な歴史の現実を学ぶかのように思われるかもしれないが、それは全く違う。むしろ、現代の価値観を何ら疑わず、それを浸食しないようにノイズが排除された作品しか提供されない、楽しめない方が貧しいのである(むしろ実態の方が遥かにカオス過ぎておもしろいし、その学びの中からいかに自分たちの歴史観が幻想に彩られてきたかまでわかるのだから一石二鳥というものであるw)。ゆえに、自分の持っている価値体系という名のレセプターを一度ぶっ壊してそれを再構成し、より多くのものを愉しめるようにした方が素晴らしくない?と快楽主義者の自分などは思うのである。
あ、ちなみに時行のこの上気顔で絶対ヤバい扉が開かれた人々がいるだろうなと思いPixiv(別名:Unlimited Brade Works)も検索してみたが、多くはないものの、すでにそれなりの春画が公開されておりました。これからきっと祭が始まりことでしょう(・∀・)
さて、そんなことを考えていた折、
「同人作家でVtuberデビューの準備中」とかいうお勧め動画が出てきたので、伊東ライフ師匠やクリムゾン先生的なビッグネームがVになるんかな?ぐらいに思ってとりあえず放置プレイしていたが、家でPC作業をしていた時、BGM的に流してみようとその動画を聞いてみたら・・・
間違えようのないハスキーだが柔らかい第一声、う、う、詩〇姐さん(オクレ兄さん的なノリでw)!
予想はしてたけど、引退の前からしっかり準備されていたんだね。
なお、少し配信を聞いてみるに、これから同人活動をガッツリやっていくつもりらしく(間口を狭めないためか、「ノンケ好き」アピールがおもしろかった)、センシティブ系でPornhubでの配信もするとかしないとか…ってやっぱそれが引退理由だったのなw
まあある意味、これだけ「わかりやすい」と勘ぐるも何もない。
古巣は上場企業としてコンプライアンスがうるさくなってきているし、You Tubeくんも相変わらず思春期真っ盛りだから、この方向性(強み)を活かしていきたい姐さんと企業のベクトルが噛み合わないのはまあしゃあないと思う。ただ、「方向性の違い」はあれど、ビジネスパートナーとしてお互いにリスペクトし合った形でコンビ解消できたから、アーカイブも残すことができるなど、ある意味理想的な別れ方をしたんだろうなと思う。
てか妹コラボも復活するっぽいし、やはりこの人には企業という箱庭は狭すぎたんやな( ̄▽ ̄;)
とりあえず塚本のべる名義の一作目は「逃げ上手の若君」で夜露死苦(・∀・)!
薄い本の中で捕まって取り調べされ、「お尻見せなさいよ!」が発動されつつも、事の後でまんまと逃げおおせる若君の姿がワイには今から想像できるぜwww
まあBANされんようには気を付けてもらいつつ、今後の活動を応援していきたいところである。
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