「男性がデート代を奢るべきか？」という、誘蛾灯の如きテーマ

先日深田えいみのツイートとそれが炎上したことを取り上げ、「女性が準備に相当な手間やお金をかけてることは想像に難くないし、まあ言いたいことはわかるけど、その理屈が通るなら男性の側からガソリン代やら諸々の主張がされるわけで、そういう反応が想定できていないんだとしたら、そのバイアスを形成してるものは何なんだろうねえ」と述べた。

 

そしてそのバイアスの背景となっているものが、男尊女卑的傾向の残存であり、また上昇婚志向を生み出してもいて、それが(社会の実情とのミスマッチゆえに)非婚の一因となっていると書いた。

 

さらに言えば、深田が述べたようなことはお互いの合意形成による永遠の微調整によって成り立つものである(別に違法でもないのでパートナー同志で相談してお互い好きにしたらいい)。ただ、価値観が多様化している現在は擦り合わせの難易度が高くなっている上に、特に日本社会の場合は価値観の異なる他者とのすり合わせは苦手としているため(「空気読み」で表面的な調和・解決を図りたがる)、コスパ志向とノイズ排除のメンタリティが強いとされる若い世代がさらに恋愛や結婚から距離を取ることは容易に想像でき、日本の非婚＝少子化傾向は止まらず韓国の後を追うことになるだろう、と書いた次第である(Neuro-samaのようなbotやStrayで触れたようなメタバースなどの技術革新により、それを生身の人間関係のオルタナティブとして採用する人間が少なからず出てきて、社会はよりリゾーム化していくことだろう)。

 

で、何でこの話をまた書いているのかと言うと、「あいかりん」というYou Tuberが「男性に出して欲しいって女性のほとんどが思っている」・「器おっきくして財布も広げろよ」というツイートをしたんだそうな(元投稿は以下の通り)。

 

デート代は男性に出して欲しいって
女性のほとんどが思っているし

その意見を述べてるだけで
誰にも迷惑かけてないし
何が悪いのか分からない😇

器おっきくして財布も広げろよ💸 pic.twitter.com/b9C73ghsyV

— あいかりん様 (@311Aikarin) February 13, 2023

 

うーむ、これホンマにフォローしてるつもりなんかなあ・・・😅突っ込みどころ満載すぎて、なんか話を単にこじらせてるだけに思えるで。例えば、「女性のほとんどが思っている」と何の根拠もなく言っていて、案の定「データからして1/5しかそんな人いないっすよ」という突っ込みに対しては間違いを訂正するどころかよくわからん開き直りをしている。しかも、深田えいみが個人の感想を言っただけと書いており、確かに元ツイートを見てもだいぶマイルドな表現でこれにガチギレするとかさすがに極端やなと思うが、この「あいかりん」という人のツイートは「器おっきくして財布も広げろよ」と上からタカるような挑発的言い回しであるため、おそらく反発を拡大するだけで一体何をしたいのかわからない(ちなみに、公共空間に出す以上は賛成と同時に反対意見が出るのも異常なことではなく、かつ反対意見を出すことは、それが罵詈雑言や誹謗中傷なら論外としても、別に言論の自由の否定でも何でもない)。

 

まあこのツイートで見られるのは「自分やその周囲の人間の感想を勝手に社会一般のことだと思い込む」という2chまとめ動画なんかでもよく見られる現象で、かつメタ認知能力が著しく欠落している事例として反面教師的な観察対象としては参考になるんだが、こうやって不毛な場外乱闘が広がっていきそうなところが、このテーマの解決(合意形成)の難しさをよく物語ってはいるなあと思う(その割に比較的身近なテーマで多くの人が一家言ありそうな所がまた面倒くさいと)。あ、でもFさん(フリーザではない)の「炎上対策セミナー」って動画では、まさに炎上の仕組み(火元への反発をする勢力A、に反発する勢力B、の対立を見て首を突っ込む勢力C・・・)の話をやってましたなあ(トオイメ)

 

そういう誘蛾灯のような(吸い寄せられて炎上する)テーマであるがゆえに、飲み屋で友人と個人的に話すとかならともかく、公共空間で主張を展開する時は

１：個人の主張であることを徹底し、表現方法にも気を付ける

２：一般的な話として語りたいなら、データを用いて持論を展開する

が必須だと思った次第である(いやはや、ツイッターで持ち出すなんてホンマ自殺行為としか思えんわコレ)。

 

はい、てなわけで以上。ちなみに以前紹介した「かなえ先生」がこのテーマで配信してることを知ったので、参考までにどうぞ。

 

 

 

一時間も見てる暇ないんじゃ！て人は、主張とその問題点をまとめた部分をスクショして貼っときますわ。