傑作にて打ちのめさるる、また愉しからずや

2017-01-08 12:20:41 | 本関係

もう「仕事が忙しくて時間がない」とか書くのさえアホらしい。無いならないなりに、やることやりゃーいいんだよ!とキレてるのか開き直ってるのかよくわからんテンションになっているカラヤン伯ですがみなさまいかがお過ごしでしょうか?

 

「真説 ザ・ワールド・イズ・マイン」読了。「圧倒的」という言葉が相応しい作品だった。今の状態ではとてもレビューを書けたもんじゃないので、まずは二周目を読むことにする。去年が強烈な出会いが沢山あったので2017年は大丈夫かと心配したが、取り越し苦労であったようだ。

 

「この世界の片隅に」をきっかけに読み始めたこうの史代作品については、「夕凪の街、桜の国」・「長い道」に続いて「街角花だより」「こっこさん」「さんさん録」「日の鳥」を読了。「街角花だより」は、久しぶりに全く自分とは違う波長の作品(思考回路が全く違う人間の物語)を読んだ感じがおもしろかった。というか、主人公たちがうちの母親と思考回路や言動の飛び方が似ているので、女性の振る舞いの一類型として興味深く読んだ感じ(俺もかなり気まぐれというかぶっ飛んでいる思考をする人間という自覚があるが、ぶっ飛び方のタイプがまるで違う)。

 

「こっこさん」「さんさん録」はともに娘が可愛すぎて困る。相変わらず俺は子供に弱いらしい。「さんさん録」の主人公の有り様は、いい意味で「葛城事件」のオヤジと対照的でおもしろい(映画を見た人なら、三浦友和演じるオヤジの空虚な権威主義的、事大的発言を容易に思い起こすことができるだろう)。しかし、こういう「地に足の着いた人間」がどんどん減ってきているようにも思える(まあ私もかなりそちら側の人間だがね)。

 

「日の鳥」は題名が不死鳥からきていることは言うまでもないが、長い日をかけて東北の有り様を「鳥瞰」ということ、そしてある意味での「視点の偏り」を回避するためか(とはいえ、この作者がその程度のことで客観性が担保されるうるなどという生っちょろいことを期待するとは考えにくいので、最後のは俺の思い過ごしかな)。ただ、そこに自らの半身(妻)を探す旅であるという設定にすることで、単に第三者・他人事ではないという設定になっている。自分としては宮城・福島は一度ちゃんと旅をしたいと思っていたので、その時にこの本を読んでいることが何らかの影響をもたらすかもしれない。今のところは評価は定め難い感じ。

 

そして今は、amazonから届いたばかりの「ぼおるぺん古事記」を読み始めている。つうかなんか神様がエロくて困る(困ってばっかりだな・・・)。たまたまツボにはまったのか、はたまた俺のアカシックレコード(笑)に触れる何かがあるのか不明。まあ「この世界」で一番好みなのは周作の母親(!)という謎の属性を発見したくらいなので、三十路も半ばになって相変わらず自分のわからなさは大層なもんだなと一人ごちる今日この頃である。

 

ちなみにこうの史代作品では「ぴっぴら帳」を買うか悩み中。中古が高いのと、kindleは目が疲れるのが嫌なのが原因。「この世界」については購入した絵コンテ集ユリイカの特集はまだ読んでいない。情報がオーバーフローして何も書けなくなることが目に見えているからだ。一応これからは水原の発言、白木リン関連、重層性の演出、包摂の件を書き、そこから絵コンテとユリイカまで読んで、三回目のアニメ版視聴にのぞみたいと考えている。


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