すなわち、この世界の偶然性や不条理、複雑性に対して不安となり、体系的に説明できる何かを強く欲した時にすがりたくなるものの一つであり、それは言わば神なき宗教(あるいはその狭さを考慮するなら「教義」と言ってもよい)と表現することもできよう。
とするなら、今日における複雑性・多様性の亢進、グローバル化と分断の加速、情報のオーバーフロー、そしてそれらが必然的にもたらす単純明快な答えをひたすら求める「コスパ重視の思考」の強化は、陰謀論が跳梁跋扈する絶好の土壌となっていると言ってよい。
以上の事を踏まえれば、陰謀論の蔓延を防遏するには単に病状の説明や症状の訴えを否定するだけでは解決に到らず(陰謀論者と論争しても基本的に無意味なのはこのためだ)、その土壌の改良や免疫化の具体的方策が必要である。
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