霊場を一通り回ったところで、湖岸に立つ。
もう何度も書いてはいるが、やはり改めて思うのが、「混淆とそれによる眩暈」だ。砂浜があり、対岸には山がある。まあここまでならわかる。しかしさらに、美しき紅葉があり、砂利道と岩肌があり、さらに寺院があって、かつこれらが渾然一体となっているのだ。ゆえに、一つ一つのものに注目した時には美しさに見惚れるが全体を視界に収めた時、ここがどうしても何か異常なる空間であるという感覚をぬぐえないのだ。なるほど確かに、砂利道と岩肌に宗教的モニュメント、というのは一種異様な印象を与えるだろうが、隣に豊かな自然が存在するからこそ、なおのことその異常性が脳裏に焼き付く、とでも言おうか(落ち着くけど、異常。異常だけど、落ち着く・・・という感覚??)。
もし恐山がかくの如き場所であることを事前に知っていたら、昼飯持参でもっと長時間ここに滞在するという選択肢もあったろうが、生憎とこれからまた別の場所に移動せねばならない。ただ、ここで感じた異界の心持ちは、長く記憶にとどまるであろうよ。
せっかくの十二湖が曇天で魅力を減じてしまった昨日と違い、今日が快晴に恵まれたことを僥倖と思うことにしよう。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます