そう思っていた頃が自分にもありました・・・なぜって、均整を尊ぶルネサンスのエートスと、豪奢を嘉するバロックでは水と油だからね。
しかし、私はかかるステレオタイプを打ち破るマスターピースと出遭うことになった。
それが篠塚裕志である。え?この黒くて邪魔な四角は何なんだって??そりゃお客さん、大事なトコロなんですから防御力高めるためにもテルシオにするのは当然でしょうが(すっとぼけ)!
いわゆるエロマンガと呼ばれるジャンルにおいて、ムチムチな肢体が描かれることは珍しいことではない(代表的なのは月野定規)。断面描写を含め、現実ではありえない(見えない)ものをプレゼンテーションするという意味において、いささか現実離れした体型を描くことにも(他メディアとの競合、すなわち生存戦略的に言って)合理性はあるからだ。
一方、リアリスティックでシャープな肢体を描く(ないし得意とする)流派も当然存在している(例えば東山翔など)。
両者の相違は例えて言うならロマン主義と写実主義の違いであって、そこに優劣をつけようとするのはカント的視点からも無意味と言えるだろう。とはいえ、両者を架橋するような存在は現れないだろうと思っていたのだ。
しかし、Meister 篠崎は異なる。
なるほど体型こそバロックのそれであり、いかに魅力的なムチムチを表現するかに腐心したスタイルである。しかしながら、白黒で見ればよりよくわかるように、かのアーチストは整理されたシャープな線描写とプレーンな肌の(質感)描写によって、同時にルネサンス的均整をも見事に表現することに成功している。
つまり、およそ凡百のpainterが到達しえないアウフヘーベンに成功した、希有なartistと評するのが適正であろう。幾多郎先生もビックリの絶対矛盾的自己同一は、我々の身近に存在していたのであった。
これより前の単行本に収録されたるエピソード(One time gal)はすでにアニメ化もされているが、様々な形でこの恐るべき作家の真価が、遍く認められることを切に願う次第である(・∀・)
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