こちらはスギがフジの攻撃から身を守った例です。スギの横への成長がフジの締め付けを断ち切ったのでしょうか。それとも、フジに何かしらの病変があって枯れこんだのでしょうか。いずれにしてもスギが耐え忍んだものですね。スギの勝ちというところ。しかし、締め付けられた痕跡は痛々しいもので、これでは材としての価値は無く利用されることは無いでしょう。
里山の杉林を歩いて気づいたことですが、手入れが悪い場所ではつる植物が我が物顔ではびこっているなかでも静かな激しい戦いがあります。これはフジがスギに絡み付いてとうとう絞め殺したものです。締め付けられたスギは苦し紛れの対応として、フジのつるをまたいで組織を伸ばして下部に接合したり、上部のこぶでは細い根を出して何とか栄養や水を求めてもがいた様子が伺えます。しかし、力尽きて葉がなくなっていて枯れてしまいました。この戦い、フジの勝ちというところ。でも、宿主が枯れて倒壊すれば、隣の樹につるを伸ばし絡みつかない限り自らも倒れこんでしまいますね。