森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

水媒花

2012年07月11日 | 自然観察日記
今年もたきがしら湿原に出向きました。何度か来ている場所ですが、この季節は初めてで、この季節ならではの観察が出来て大満足の日になりました。自然は常に変化しています。一度行ったからといっても出会えるものはごく少ないものですから、何度行っても新しい発見があります。
今回は水媒花を観察できました。映像では見ているものの実物は今回が初めてです。受粉を水を利用して行う花、水媒花。進化の妙を感じないわけにはいきません。
池の中に水草が生育していてその上に点々と黄色のものがあり、何かなと近づくといくつかが水面を渡る風によってスーッと走ります。中には黄色の塊が壊れて粉状になって水面に散らばります。「水媒花」です。まさに開花し花粉を散らばしている現場に出合ったのです。同行された方がおられましたから、大騒ぎするわけもいかず押し殺してはいたものの興奮冷めやらぬという感じで暫らく独り悦に入っていたものです。

クロモ

2012年07月11日 | 自然観察日記
水草の種は特定するのが不慣れで、写真をとって持ち帰えり調べました。よく似た種にコカナダモというのがあるのですが、結論はクロモにしておきます。現物を顕微観察しないと厳密な区別は出来ませんね。クロモは全国に分布する種であり、外来種のコカナダモが内陸部に入っている可能性は少ないことと。そして、コカナダモは日本には雌株は入っていないとのことで、ここにはかなりの個体が存在しているようで種の継続がなされているのはクロモのほうが可能性が高いかななどなどの理由です。いかがでしょうか。

クロモ 花粉

2012年07月11日 | 自然観察日記
クロモやコカナダモは雄花を腋に付けますが、それを切り放します。雄花は水面に浮き、まもなく葯が割れ花粉を放出します。これは水面に浮いた雄花が花粉を出したところです。風によってこの花粉の塊が右に左に動き回り、やがて花粉が水面に油膜のように散らばっていきます。雌しべの先端がどこかにあるのだろうと探しましたが、このときはそれらしいものを確認できませんでした。(コカナダモならないのは当然のですが・・・)