早春、昨年のコウヤワラビの胞子葉の枯れたものが林立している場所がありました。ウバユリと同じく雪による倒伏もなく、まだ何も芽吹いていない土手にひときわ目立っています。普通なら枯草で処理されてしまうところですが、こういう姿もよく見ると興味深いことが見えてきます。コウヤワラビは夏緑性のシダ植物。里山の湿り気のある場所には極普通に見られる種です。
拡大した胞子のうの写真を見て気づいたのですが、どこも穴とか割れた部分が確認できません。つまりこの中にまだ昨年の胞子が詰まっているのではと考えてしまいます。つぶしてみると胞子らしき粉末がそこそこ出てきますが、変色していて顕微鏡を持ち出さないと確認できません。胞子のうびっしりと詰まっているというわけではないので、かなりのものがこぼれてしまっていると考えると胞子が成熟するのに合わせて隙間ができているのでしょう。