森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

センボンヤリ(キク科)

2006年11月19日 | 自然観察日記
 センボンヤリというキク科の野草。春は可愛い白い舌状花を咲かせるから注目されるけれど、秋は本当に目立たない。とがったものは秋の花で開かない。閉鎖花というものでこのまま受精結実しまもなくタンポポのような丸い綿毛の実をはじかせる。このときにようやく再び注目を浴びる。ちょっとだけ。
 春の花は他花受精をし遺伝子を混ぜて新しい形質の子孫を残す役割、秋の花は自花受精で遺伝的に親と同じでもともかく子孫を残し命を繋ぐ役割。植物は有性生殖的な繁殖と無性生殖的な繁殖を巧みに織り交ぜて生きている。
 この閉鎖花は柄がアンバランスなほど長い。その様子から「槍」という連想が生まれたのであろう。

ヒメスミレ(スミレ科)?

2006年11月18日 | 自然観察日記
 まだ色がある芝生にスミレの花が見える。どうもヒメスミレのようなのだが春先の花とはかなり雰囲気が違う。もっとも我が家の庭に蔓延っているのはスミレサイシンなのだが葉の形から明らかに違う。アケボノスミレという種にも似ているのだが我が家に急に出現したとも考えにくい。難しいスミレの同定だが、いろいろ思案したところでヒメスミレが季節を間違えて開花したものと考えている。
 種によっては「春型」とか「夏型」というように形態に大きな差を持つものがある。ヒメスミレが安定した2型持つのかどうかわからないが、変異は結構一般的に起こっているのだろう。
 寒風が吹き始め山に白いものが目立ち始めたが、日差しが戻ればもう少しスミレの花を楽しめる。

ホットリップス(シソ科)

2006年11月17日 | 自然観察日記
 以前訪れた妙高のいもり池脇の休憩所に植えられていたもの。愛らしい花姿が眼を引いた。初めて見たものだから気になっていたが、しばらくの間正体のわからない状態が続いた。
 「ホットリップス」というメキシコ原産のサルビアの仲間と知ったのは最近である。サルビア属も世界を見渡すとバラエティーに富んでいるものだと感心する。日本に入ってきたのはいつ頃なのだろうか。
 ここは日本の風景を代表する妙高山いもり池、それを背景に外来種のホットリップス。知らない人は違和感を持たないかもしれないが、私は複雑な気持ちで釈然としない状況が続いている。

うどんげの花

2006年11月16日 | 自然観察日記
 クサカゲロウの卵である。マユミの葉の裏にいくつか産み付けられていた。これを「優曇華(うどんげ)の花」というのだが、その謂れの詳細はわからない。ただ、「優曇華」とはインドの伝説に出てくる三千年に一度咲くという「吉兆の花」なのだそうで、どうも昔の人がこのクサカゲロウの卵を見て優曇華だと思いこんだことかららしい。
 この仲間に、ウスバカゲロウという種がある。乾いた砂地に住んでいるアリジゴクの主である。子供の頃、この名前を「薄馬鹿下郎」と教えられたのがいつまでたっても頭から消えない。もう一つ面白いことに、このウスバカゲロウはネコと同じくマタタビが大好きだそうでよだれを垂らすかどうか知らないが、夏実をすりつぶしておくと沢山集まってくるそうだ。

マユミ(ニシキギ科)の実

2006年11月16日 | 自然観察日記
 数mの亜高木にはなる樹だが、大きな樹を見たことがあるのは1回だけでほとんど低木。それも庭木としてのものが主である。選抜された品種があって赤い綺麗な実のものが出回っているが、野生のものは写真のような色艶である。しかし、これでも十分楽しめる。花は地味な小さな緑色のもだが実は鈴なりになり賑やかだ。落葉語も実は残るから冬枯れを飾るのにはいいものだ。数mの大きな樹になってこの実を沢山つけたものはそれはそれは見応えがするのは請け合いである。

ギンモクセイの葉

2006年11月15日 | 自然観察日記
 同じ園内にあったモクセイの仲間の株である。花はすでになくなっていて、葉からギンモクセイと判断している。キンモクセイと同じ頃に開花する種で香り高い樹木である。
 この種は老木になると葉の棘が無くなるものが出てくる。まったく別種のようだ。ヒイラギも同じく老木になるとあの鋭い棘が無くなってツルンとした葉になるのが面白い。樹も人と同じく年をとると丸くなるものであると教えられた。

ヒイラギの花

2006年11月15日 | 自然観察日記
 ヒイラギの花は直ぐに反り返って綺麗な十字形になっているのを見つけるのが難しい。雌雄異株で見かけた花は雄株の雄花。咲き出しは写真のような十字形で雄しべが2本の端正な花である。

ヒイラギ(モクセイ科)

2006年11月15日 | 自然観察日記
 遅咲きの種にヒイラギもあった。ヒイラギというと12月のクリスマスの頃の飾りによく利用される棘棘の葉を持った樹である。
 この写真は福島潟の脇にある「市島邸」(新潟県下で最も広大な土地を所有していたといわれる)という豪農の屋敷に咲いていたものである。このモクセイの仲間には、キンモクセイ、ギンモクセイ、ヒイラギモクセイなどがあり、庭木としてよく見かける。いずれも芳香がある。しかし、キンモクセイほどの香りではない。
 

福島潟から飯豊連邦を望む

2006年11月14日 | 風景
 いい景色である。久々に出会った感じで感激した。もうこういう景色を身近で見れる場所が本当に少なくなった。遠くに雪を頂いた飯豊の高峰が輝いていた。こんな景色を見ながら暮らせる人は幸せだと思う。道路のすぐ脇から撮ったものだ。僕の秘密の場所を見つけた面持ちである。

福島潟朝霧

2006年11月14日 | 風景
 晩秋の朝霧に包まれる福島潟である。穏やかに晴れた日だったから一日中ボーっとしてすごしていたい気分になる。

ハンノキ(カバノキ科)の花(つぼみ)

2006年11月13日 | 自然観察日記
 長いほうが雄花、丸いものが雌花。いずれも来春咲くつぼみである。中央の開いたような丸いものはこの春開花し実をこぼしたあとの残骸である。カバノキの仲間だから花としては地味で、推花は尾錠花序で典型的な風媒花である。

ハンノキ(カバノキ科)

2006年11月13日 | 自然観察日記
 福島潟に続く街路樹がハンノキであった。よく特徴を出していると感心した。ハンノキの自生する場所は湿地帯であるから、かって福島潟の周囲には沢山自生していたのであろう。しかり、今は排水設備が整っていて潟の風情は残っている部分は公園内でしかない。それも、見える限りの範囲では天然のハンノキの林らしきものはない。いくつか植栽されたと思われるハンノキの列が存在している程度だ。
 
 

アサザ(ミツガシワ科)

2006年11月12日 | 自然観察日記
 福島潟の水の駅「ビュー福島潟」という施設に、貴重種としてアサザ、オニバス、ガガブタなどが掲示してあった。アサザで思い出したのが長岡の雪国植物園である。ここにもアサザの群落があるのだが、この群落が出来たいきさつに興味を抱いた。園長の話によると、園内の放置された田を湿生植物園として整備していたのだが、水草が生い茂ったので草刈を行いついでに土を掘り起こして大規模な改修を行ったそうだ。再び観察しやすいように整備し熟成していたらなんとアサザの群落が出来てしまったのだそうである。おそらく土壌中のアサザの埋土種子がかき混ぜたことで発芽条件を得て復活したのであろう。
 今では貴重種になってしまったアサザだが、山間の湿地や池を人為的な攪拌を行うと案外簡単に復活するものかもしれない。「自然保護」は適度の「人為」があってうまくいくケースもあるということである。

福島潟水鳥 4

2006年11月11日 | 自然観察日記
 こちらはチュウサギ(?)。水面を凝視して獲物が近づくのをじっと待っている。もともと怖い顔をしている鳥だが、ますます形相が真に迫ってくる。しばらく観察していたが、小魚がハントできる範囲に来ることがなかったのだろう場所を移動してしまった。決定的な場面を期待したのに・・・ちょっと残念。
 白いサギにはコサギ、チュウサギ、ダイサギがいて、もっと細分化されるという話もあるから鳥の区別もなかなか難しいものである。