森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

ザトウムシ ①

2011年12月22日 | 自然観察日記
石版の上に黒点が2つ。何だろうと近づくとザトウムシです。大小2個体。雌雄でしょうか?それとも別種なのでしょうか。よく見ると足の一部が接触していてなにやらコミュニケーションを図っているような気配。じっとしていて動きません。
ザトウムシはクモに近い仲間で頭胸部と腹部に別れ足は4対で昆虫類とは明に違います。やたらに足が長いのが特徴で「あしながおじさん」という別名もあるとか。

ザトウムシ ③

2011年12月22日 | 自然観察日記
小さなほうの個体です。足が欠損していて大きい個体が正常なのに比べなにやら過酷な試練があったようです。その原因が対面している個体のせいなのかどうかはわかりませんが、足を接触させながらじっと動かない理由は何でしょうか。カマキリが大きなメスが小さなオスを餌として認識し襲って食べるということを思い出しました。このザトウムシ、雌雄ならカマキリのような関係があるのかな?などと考えてみました。先を急ぐ必要もありましたから、その場をそっと離れました。

ヒロハツリバナ 冬芽

2011年12月21日 | 自然観察日記
ヒロハツリバナの冬芽を観察しました。とにかく細長いのがユニークで他に類を見ません。それをカメラに収めるのになかなか苦労しました。ピントを合わせるのにてこずりました。それにしてもこの細長さの意味は何なのでしょうか?どういう利点があるというのでしょう。他の多くの種が小さくてがっちりした冬芽を作るのに・・。その違いが際立ちますね。

フジアザミ 

2011年12月20日 | 自然観察日記
初冬というのにアザミの花が咲いていました。フォッサマグナ断層の露頭を覗く斜面に群生していました。さすがにもう枯れこんだ個体もあって花を見せていたのは2株程度。しかし、地面には大きなロゼットを広げていますからここにはなかなか見事なアザミの群落があることがわかります。
そのアザミ、実は新潟県では珍しいフジアザミという種でこれも糸魚川近辺でしか見られないものなのです。

フジアザミ 花

2011年12月20日 | 自然観察日記
フジアザミは大型のアザミで特に頭花は日本最大とされ子供の握りこぶしくらいはあります。下向きに付く性質があります。富士山近辺に多く生育しているところから名づけられているのですが、どちらかというと荒地によく見られるアザミです。結構高い場所にも生えていて特徴的なアザミですからそれとすぐにわかります。それにしても師走の声を聞くころにも花があるのは驚きです。温暖化のせいなのでしょうか。フォッサマグナ断層とフジアザミの分布は関連があるかもしれませんね。

シロヨメナ ①

2011年12月19日 | 自然観察日記
タマバシロヨメナという野菊が晩秋に花をよく見ます。糸魚川にもそれがあるのかと思いきや、葉の形がかなり違います。これではとても「玉葉」とはいえない状態です。ほかの特徴はよく似ているのですが・・。持ち帰っての調べでは、太平洋側に分布するシロヨメナの変種(葉が細長くなく丸み帯びる。日本海側に分布する)をタマバシロヨメナとするのだそうです。とするとこれは基本種のシロヨメナとしたほうがいいのでしょう。あいにくこの日私が歩いた狭い範囲では「タマバ」は見られませんでしたが、多くの南方系種が糸魚川近辺にあるという例に違わずシロヨメナもこの当たりには生育すると考えたほうがいいようです。

ダンコウバイ

2011年12月18日 | 自然観察日記
これも暖地性の種。ダンコウバイです。黄葉していてまもなく落葉する直前という状態。葉の形がユニークであるためにすぐにそれとわかります。クスノキ科の仲間で雌雄異株。この株は雄株のようです。この種も新潟では県南の糸魚川近辺でしか見れないのではないでしょうか。ちょっと感激です。
路傍にある雑木でしかないのですが、それをまじまじと見つめカメラを向けていると不思議そうに通り過ぎる人の視線が背中に感じられて・・・。

ダンコウバイ 花芽

2011年12月18日 | 自然観察日記
クスノキ科の低木~亜高木。地元長岡当たりでよく見かけるアブラチャンの仲間で、花は黄色で春の里山を飾る素敵な花ですよ。丸い花芽が来春黄色の花の塊を形作るのでしょう。

リュウノウギク ①

2011年12月17日 | 自然観察日記
見慣れない野菊が露頭に向かう散策路の岩場に生育していました。リュウノウギクです。新潟県で見たのはこれが初めてで、かつて静岡伊豆の海岸線で見かけた以来でとても懐かしい気分です。太平洋側ではそれほ珍しいものでもないでしょうが、新潟ではかなり珍しいものです。日本海側の分布は糸魚川あたりから南になります。葉をつぶすと独特の香りがするので花がなくともそれとわかります。

リュウノウギク ② 花

2011年12月17日 | 自然観察日記
少し離れた岩場に花をつけた株がありました。栽培キクの原種の一つとも考えられている野菊です。清楚ですね。遅い残り花がある当たりが糸魚川という地が県内にあっては特異な場所だという証拠なのでしょうか。フォッサマグナという存在とこれに関連した植生の不思議・・・、興味は尽きることがありません。

フォッサマグナ断層露頭

2011年12月16日 | 風景
雪が降る前に来年の観察ガイド候補地を捜し歩いています。先日糸魚川地内に出向いていくつか歩いてみました。フォッサマグナといえば日本でもっとも有名な大断層糸魚川静岡構造線です。その路頭が見られる場所があると聞いて訪ねてみました。フォッサマグナパークという名称で雨飾山へ向かう沢(この沢を根知谷といわれています)の入り口根知にあります。
路頭はが見られる位置へは歩きやすい歩道が整備されていて散歩にはちょうどいいです。写真の白い線で描かれているのが断層面の目印です。左側が古生代の変ハンレイ岩と右側の新生代中新世中期の安山岩が、幅約2mの断層破砕帯を境に接しています。地質学に関しては門外漢ですから説明書きを見ながら納得してきました。この線が日本列島の大断層線で、日本列島中央部のぽっきり折れている断面だということを考えるととても不思議な気がしました。
(日本列島は中央部が真っ二つに折られる形でアジアから離れた。折れた原始日本列島の間には日本海と太平洋をつなぐ海が広がり、新生代にあたる数百万年間、砂や泥などが堆積していった。そして数百万年前、フィリピン海プレートが伊豆半島を伴って日本列島に接近した時に、真っ二つになっていた列島が圧縮され始めた。この時、間にあった海が徐々に隆起し、新生代の堆積物は現在陸地で見られる地層になったと考えられている。)糸魚川フォッサマグナミュージアム資料より