赤い色彩が強い個体もありましたがサラサドウダンツツジです。新潟の県境の脊梁山脈にはベニサラサドウダンが自生しますが、ここではサラサドウダンだけのようです。ところによっては両種の混成もあるようなのですが、日本海側の種がベニサラサドウダン、太平洋側がサラサドウダンが分布していると考えるとよさそうです。
昔、富士山の外輪山の長者が岳(だったような気がします)に登った時のサラサドウダンの海ぬ圧倒された思い出があります。ただ、この時のサラサドウダンの花の色は白っぽく薄い色の花でした。太平洋側に行くに従い色は薄く日本海側に行くほど色が濃くなるというのが個人的な経験談です。
展葉したばかりのハリブキ、若いつぼみも一緒に成長を始めています。頂葉の腋から伸び始めたようで7月には小さな花をたくさん咲かせるはずです。そういえばハリブキの花のイメージがほとんどありません。いままで見たことがあるような・・あるいは写真でしかなかったのか・・。赤い実が秋口に実りますから、この印象がとても強いのですが花は忘れ去られた状態ですね。それにしても棘の凄さ!こんなにして何を守ろうというのでしょうか?棘を持たない種には体内に特殊な物質を持って身を守ろうとしていると考えると、ハリブキはよほど美味しいのかもしれません。
秋口に見られる花という意識でしたが、もうカラマツソウが咲き始めていました。6月下旬でしたが、今年は多くの花が早く咲きだします。季節の進み方が速い年のようです。雨あがっりのタイミングでしたから咲きだしたどの花も濡れ鼠のような状態で、美的ではありません。それでも少しはましなものを選んでの撮影でしたがこれが精一杯です。
草丈は1mを超すことがあるようですが高山帯の草付に時々大きな群落を作っています。葉は三回の羽状複葉で葉だけでカラマツソウの仲間だと分かります。花は白。アキカラマツの薄黄色とは異なりますから簡単に識別できます。
低木のツツジ科の種。高山帯などでは比較的普通に出てきます。黒い実の季節の方が印象深いのは歩きながら実をとっては口に運ぶことが多いせいでしょうか。甘くておいしいですね。亜高山から高山帯で食べることができる実の中ではノウゴウイチゴに次ぐ美味しさだと個人的には思っています。今回は花の季節。花も控えめながらかわいいつぼ型の花です。
ガレ場が好きなオンタデです。コマクサの原の片隅に自生しています。大きくなれば1m近くにはなるタデですが、ここでは矮性で40cm位の高さでした。オンタデの思い出はなんといっても富士山でしょうか。いまだ富士山の山頂には立ったことがないのですが、五合目まで車で行ってそこから道なき道を登って森林限界から草付を観て植物の生育する最前線を目指したことがありました。傾斜は緩いとはいってもザクザクしたガレ場は一足登るごとに半歩はずり落ちるという具合の登りです。なかなか苦労する登りでした。その最前線にいる植物がオンタデ。まばらに生育する状態ではあっても結構根が深そうでがっちり土地面を捕えていました。荒涼とした景観にオンタデの群落、この種を見るとなぜかあの景色を思い出してしまいます。
火山の荒原にはだいたいオンタデが見られます。阿蘇あたりは分かりませんが中部以北の火山荒原にはまずは定番の先駆植物になっているようです。タデは花は両性花が多いのにこの種は雌雄異株です。雌株は雌花が咲いた後の結実期には赤味ださして結構きれいです。
池の平湿原を取り巻く尾根の最高峰の見晴岳の稜線にはコマクサの自生するガレ場がありますが、そこには少ないながら特殊な環境を好む種が自生していました。そのうちの一つがイワハタザオ。アブラナ科の多年草で深山から高山に生育する種とされます。
個体数が多いわけではないのですが、花の季節で度の個体にも花がついています。アブラナ科特有の十文字状の白い花。果実は細長く上に伸びます。旗竿の由来ですね。そういえば、この花は4月に弥彦山塊で見ています。弥彦山は決して深山でもなければ高山でもありませんが、イワハタザオが分布する特異な山塊だということが改めて理解されます。
高山帯に行けば必ず出会える定番の低木。高山帯にはツツジ科の低木がたくさんあります。概してツツジ科の種は多くの種が住みたがらないような条件の悪そうな場所に活路を見出しているように見えますが、そんな一つに高山帯があるのでしょう。低温や強風。強い紫外線などなどこれらをうまく処理する能力を備えて環境に適応していると理解できます。木本ですから地下などに越冬芽を形成するわけにはいきません。低木化することで厳しい環境を乗り切っているのでしょう。
坪型のかわいい白から桃色の花が先端に数個付きます。コケモモは花より夏から秋に実赤い実がいいですね。これを採集してジャムなどに加工する人もいます。あまり日本では一般的ではないようですが、外国それも北方の国はごく普通にコケモモを食材に利用しているようです。甘酸っぱい果実は結構たくさん実りますから保護地区ではない場所ならもっと利用してもいいのではないでしょうか。