孤立した岩場にキケマンの株がありました。何を好んでこのような場所に生育してのか少々滑稽でもありますが、種子が落ちたところがここで競争相手もいなかったというところでしょうか。無事成育し立派に開花しています。越年草ですから昨年発芽してこの岩場で一冬越して今開花しているということになります。結実後はこの株は枯死しますから、再びここにキケマンが生育するかは落ちた種子によることになります。
ミヤマキケマンは県内広く分布しているようですが空白域が多くまんべんなく見られる種ではないようです。里山には原則見られませんが弥彦山塊では比較的里に近いところで観たことがあります。山地性の種ではあってもいわゆる深山というような場所では出会ったことはありません。
スミレついでにも一題。雰囲気の異なるスミレが混在しているところです。画像があまり鮮明でないのが残念ですが、一見異なる種と感じました。しかし、いろいろ観察すると同じ種とも違う種とも判断できないのです。自然交雑した雑種かもしれません。青い個体はタチツボスミレのような・・白っぽい個体はオオタチツボスミレのような・・。実際の個体をみると教科書のようにはなっていないことがしばしばです。文献は重要なものですがそれに縛られない余裕を持てと諭されたこともあります。実物が真実。そこが難しいところでもあり面白いところでもある・・。などと昔言われたことを思い出しました。
それはそうと近くに明確にオオタチツボスミレと判断できる株があり、またこの白っぽいオオタチツボスミレに似た個体が周辺にかなり生育していましたがこれはどういうことなのか? 新たな宿題になりました。
それはそうと近くに明確にオオタチツボスミレと判断できる株があり、またこの白っぽいオオタチツボスミレに似た個体が周辺にかなり生育していましたがこれはどういうことなのか? 新たな宿題になりました。
エンレイソウはいたるところで見かけますが、清津峡の個体はかなり小さな個体のように見えました。丘陵公園のフィールドミュージアムで見るものの半分くらい。栄養状態なのかもしれませんが、エンレイソウは成育地でかなり変異する種とされていますから、ここはこういう小ぶりの個体なのだろうかと思っています。花も花弁がねじれる傾向があるように見えました。
見慣れないスミレがダンコウバイの咲く斜面に下部に花を咲かせていました。持ち帰って調べた結果コスミレらしいという結論になりました。「コ」という名が付いていても結構大き目で少なくともヒメスミレの倍はあります。無茎性で花立が良くこの株はやや薄い青色をしたものでした。県内の分布記録がありましたが採集の記録は多くなく県全体の山地に点々と記録されています。
コスミレと判断した理由の人るに葉の形状と裏面の色があります。最初見た時はシハイスミレかと思ったのですが裏面は紫色になっていません。しかし、コスミレにも僅かに紫色になる個体もあるようです。なんといっても花立の良さはシハイスミレの比ではありません。
ラショウモンカズラが生育する斜面の縁に小沢がありました。この小沢にかかるような位置に根曲がりを起こしているダンコウバイを見つけました。この種も興味深い分布をする種で、新潟県では南部に限られていて、糸魚川あたりは平野部にも見られるのですが魚沼や津南あたりになると平野部にはなく奥まった渓谷部に見られるのです。太平洋側は関東から西の方の山地に生育するとされています。魚沼や津南に生育するものは長野や群馬から入り込んだのだろうかと想像していますが果たしてどうなのでしょうか?自然には不思議がいっぱいありますね。
クスノキ科クロモジ属の低木で雌雄異株。この株は雌株のようで、もはや花いうより結実し果実として成長しようとしているように見えます。アブラチャンの仲間ですがダンコウバイの花をまじまじと見た経験が少なく今回はいい機会になりました。
新潟県内では興味深い分布をしているラショウモンカズラがもう花を咲かせていました。まだつぼみの個体も多いのですが早くも春も中ころから後半に向かっているようです。今年は本当に季節の進み具合が早く感じます。
ところでラショウモンカズラの県内の分布は阿賀野川沿いと角田・弥彦山塊とあとは隣接する4件の県境沿いの深山の狭い範囲で採集記録があります。清津峡は群馬県境に近い場所の生育地となります。僅かに佐渡にも生育しています。阿賀野川沿いと角田・弥彦山塊それに佐渡に分布する種はいくつありますが、県境に沿って北から南まで分布するという特異な面を持っている種は多くないと思います。どう説明したらよいのか今の私にはできませんがきっと興味深い歴史が隠されていることでしょう。
ところでラショウモンカズラの県内の分布は阿賀野川沿いと角田・弥彦山塊とあとは隣接する4件の県境沿いの深山の狭い範囲で採集記録があります。清津峡は群馬県境に近い場所の生育地となります。僅かに佐渡にも生育しています。阿賀野川沿いと角田・弥彦山塊それに佐渡に分布する種はいくつありますが、県境に沿って北から南まで分布するという特異な面を持っている種は多くないと思います。どう説明したらよいのか今の私にはできませんがきっと興味深い歴史が隠されていることでしょう。
花は大きく開けた口のようでもあります。しかし、この花の命名者はこの花を横から見た時に鬼の腕に見えたのでしょう。渡辺綱が羅生門に棲みつく鬼を退治して切り落とした腕に見立てたとか。その想像力に舌を巻きますね。
清津峡周辺ではイカリソウが生育しています。長岡近辺ではトキワイカリソウしかありませんが魚沼や津南の内陸部にはイカリソウが主でトキワイカリソウをしっかり確認したことがないことに気づきました。県内の分布資料が手元になく自分が歩いた限りでの物言いですが、県内では奥山にはイカリソウが、浅い里山を中心にトキワイカリソウがすみわけをしているように見えます。そして、トキワイカリソウが無くなる当たりから深山にはキバナイカリソウが生育しているように見えます。したがって魚沼地域や十日町津南地域ではイカリソウとキバナイカリソウは生育地域が重なる話になるのですが、この両種が同居している場所を確認したことがありません。全国的にイカリソウの形態や分布については難しい問題があるようです。
清津峡の入口には共同の駐車場があってその縁は自然の山の斜面に繋がっています。そこにおびただしいほどのニリンソウの花がありましたから、近づいてみるとそこにイカリソウも生育していたのでした。見事な株が沢山あって根曲がりを起こした灌木の間から斜面上部に向かって点々と確認できました。清津峡の景観もさることながら私にとってはこの景観の方が印象的でしたね。