他の草の生い茂る草地に混在している場面を多く見ているので、砂利の地面のやや荒地的な場所は新鮮な感じ。根が太く四方八方に広がるので「手形」という名が付いたとされますが、根が十分伸びることができるのか少し気になります。
その場ではわからないスゲでしたから、持ち帰って調べた結果がハクサンスゲです。世界の高山や寒冷地にかなり広く分布する種だそうで、それほど珍しいものではないようです。加賀の白山で最初に知られたのでしょう。
芳ヶ平湿原はかなり広大な面積がありますが、遊歩道はごく限られた場所に作られています。それでも、あちこちに池(池塘 ちとう)があり景観にアクセントを施しています。その地等の周辺にはまだ陸化が進んでいない湿地やごく浅い池なども見られ、微妙な環境の違いで生育する種が異なりますから、前出のスゲやイなどを見るのに格好の場所になっています。
ワタスゲをはじめスゲという名が付く植物は多いのですが、ワタスゲ以外はほとんど市民権を得ていません。ワタスゲの白い穂のように目立つ存在でないのがその理由ですが、地味ながらスゲをこよなく愛する人々もいてスゲの魅力を主張されます。確かに魅力的なグループですがこの仲間も難しいグループでなかなか入り込めないものがあります。そうはいっても湿地にはスゲが主役の面もあります。このヤチスゲもそう言った仲間の一つ。浅い水たまりに群生していることが多い種です。
小穂やのげなどの特徴を押さえないと明確な種を特定できません。全体的な雰囲気で判断している段階ですから的外れである可能性もあります。かなり濃い紫色の花穂がとても印象的でした。高山湿地に生育するやや大型のノガリヤスです。
芳ヶ平湿原に入り遊歩道を歩き始めてしばらくするとノガリヤスが出てきました。これは、イワノガリヤスではないかと思っていますが木道を覆うようになかなか見事な群落です。イネ科植物は無視され敬遠されることが多いのですが、全体に紫がかった花穂が風に揺れてさわやかさをより一層増してきます。
セリ科の高山種でどこの高山でも見られるものの一つ。大きく育つと1m近くになるのもありそうですが、だいたい膝からお腹辺りまでの高さです。花火のような複散形花序で、私の感覚的なイメージはやや大きめな花で花と花の隙間がない花序。何がどうと言葉では言い表せられないのですが、何度か見ていると映像脳裏に刻まれるようです。