越後丘陵公園にもムシカリはたくさん自生しています。以前からこの名前に違和感を持っていました。ムシカリは「虫食われ」が変化したものとか。丘陵公園で見る限り多少の虫食いがあっても、ほかの植物も同じようなものと思っていましたが、本白根山のムシカリの惨状を見ると「なるほど!」納得です。葉身がほとんどありません。甲虫の仲間が食害するのだそうです。
「まつぼっくり」は松の果実ですが、これはかなり長い時間がかかって成熟するのですが、あまり気づきません。高山のハイマツ帯を歩いていると、ハイマツの青い球果(まつぼっくり)を見ますが、これは前年の果実で今年の果実ではありません。これは今年花が終わったばかりの若い果実の様子です。暗紫色をしたつぼみのような形状をしていますが、これが次第に成長して翌年成熟します。
この山塊は、オオシラビソは自生していないのか掲示してあった写真や資料にはシラビソの文字。正直オオシラビソとシラビソの区別は実を見ないと私は分かりません。しかし、果実がどこにもなくて掲示物に依存しました。
本白根山の樹林帯には普段見かけない針葉樹がありました。その一つがトウヒです。この絵はシラビソと混在していますが、両種とも新潟を基準にして考えると珍しい樹といえるでしょう。新潟県内にも自生があるようですが、私は確認したことがありません。母種はエゾマツでその変種がトウヒとされます。
樹を見てもピンときませんが、根元に落ちている球果を拾ってみると明らかに違いが分かります。トウヒという言葉は、公園樹になっているドイツトウヒが馴染みがあります。この球果ほど大きくはありませんが楕円体の小ぶりな球果はトウヒの大きな特徴です。
高山帯に来れば必ずと言ってよいほど見られる種ですが、美しい花の盛りのコバイケイソウには縁が薄いと見えて、今年も満足のいく景観には遭遇していません。場所によっては大群落になって人を酔わせる名花ですが、本白根山はそういう景観にはなりにくいようで、見開花株がパラパラとみられる程度でした。