昨日参加した散策会会場の天竜・熊地区は、期待どおりの山里だった。
急峻な傾斜地に張りつくように人の営みがある。
日本の原風景を彷彿とする景観のなかに、つつましい集落の心遣いがある。
道路際の法面に咲く「ウメバチソウ」(ユキノシタ科)の可憐なこと。
はじめはよくわからなかったが、以前、千M級のキャンプ場で見たのを思い出した。
「梅鉢」は、天満宮の家紋だ。
つまり、故なく失脚させられた菅原道真を慕う人々がこの家紋を使ったそうだ。
そんな秘めた悲しみを納得させられるほどの純白さと可憐さが漂う。
晩秋の秋晴れのここかしこの斜面に「リュウノウギク」が咲き誇る。
葉を揉むと「竜脳」の匂いがするという。
暗い杉林で青緑色がひときわ目立つシダがあった。
調べてみたら「クラマゴケ」(クラマゴケ科)らしい。
熊地区は同じ中山間地のなかでもこうした珍しい植物が少なくない。
それ以上に、全国でも有数の村びと全員参加のNPOを設立している。
ガイドをしてくれたのも地元のお母さんだった。
そこに小さな希望が満ち満ちている。