久しぶりに映画館に駆けつける。娘が推奨するS・スピルバーグ監督の「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」だった。法廷中心の映画だろうと推定して夕飯後だったので睡魔の危険があった。映画は淡々と真実を積み上げていく役者の実力が試される内容だった。
主役はハリウッドの大女優「メリル・ストリープ」だ。アメリカがトルーマン・アイゼンハワー・ケネディ・ジョンソンの4政権がベトナムへの秘密裏の干渉・介入を記したトップシークレット文書があった。それを勇気をもってスクープした「ワシントンポスト」紙の女性経営者がストリープだ。それは男性優位の社会の中で「権力を見張らなくてはならない。我々がその任を負わなければ誰がやる」と周りを押し切って報道の自由を決断する自立した女性の物語でもある。
それを支えたのはトムハンクスらの編集局だ。このスクープによりワシントンポスト紙は全国有力紙へと成長していく。ひるがえって、わが日本の財務省・防衛省の隠蔽・改竄文書といい、官僚トップの品位・誠意のなさといい、お粗末極まる事態だ。それはどんどん劣化していく政治の裏返しで、それを警鐘すべきジャーナリズム・マスメディアの鈍感さの責任は大きい。同時にそれは国民も「腐海」の渦に巻き込まれているがいまだ覚醒にいたっていない。