国道というとつい車のためにあるように思い込む。しかし、道は歩くことで道ができる。これが道の原点だ。歩いてすぐ目に入ったのは、やはり八重桜だった。豪華絢爛、歌舞伎の世界を彷彿とさせる。
川沿いに目立たない桜「ウワミズザクラ」が見えてきた。ウワミズザクラは植えたというより自然に育ったようで、足場の悪い所にあった。葉は桜餅などに利用されるので食用になる。なかなか見栄えのする桜だが、振り向いてくれる人が少ないのが残念。
樹に絡んでいたのは、「ゴヨウアケビ」だ。葉が5枚、全縁なのですぐわかるが「ミツバアケビ」との交雑種もあるという。手が届くくらいの所にアケビの実ができるといいのだが、「そうはいかないぜよ」との回答だ。
そしてたびたび目にする樹は、「アカメガシワ」だ。典型的なパイオニア植物で、空き地ができるとすぐに進出する。この若葉は食用にもなるというがまだ食べたことはない。よく見ると鑑賞に耐えられる美しさと生命力がある。
魯迅は、「希望とは道のようなものである」「歩く人が多くなれば道ができる」という名言を『故郷』に表しているが、オイラの座右銘でもある。車では見えにくいが、歩くと見えてくるものがある。