いつものように歯を磨いてから寝ようとした深夜のこと、突然パタパタと音がしてパタッと音が止んだ。この音には記憶がある。音がした方をよく見るとアブラゼミが畳に不時着していて動かない。脳震盪でも起きたのだろうか。そのうちにいなくなったのでそのまま寝ることにする。
このところの蒸し暑い毎日は昼と夕方にシャワーを浴びないと気持ちが悪い。畑の農作業をちょこっとやっただけでもTシャツはぐしょぐしょになってしまう。それで、いつものように浴室に入ってヘチマのタワシを取ると、なんとその下にアブラゼミがいた。「ここに隠れていたのか」
アブラゼミが侵入するほどの隙間が家のどこかにあるということだが、くたびれたアブラゼミがなんのためにわが家にやってきたのだろうか。ついの住処を探しにきたのだろうかと老身のオイラは勘ぐってしまいながら、汗をゆったり流したのだった。