原題:『La Belle et la Bête』
監督:クリストフ・ガンズ
脚本:クリストフ・ガンズ/サンドラ・ヴォ=アン
撮影:クリストフ・ボーカルヌ
出演:レア・セドゥ/ヴァンサン・カッセル/アンドレ・デュソリエ/エドゥアルド・ノリエガ
2014年/フランス・ドイツ
「禁」の犯し方の違いについて
本作がこれまでの『美女と野獣』と違う点は、王子が野獣になった原因が具体的に描かれていることである。王子が王女と交わした禁を犯して黄金の雌鹿を仕留めてしまうのであるが、その黄金の雌鹿の正体は王女自身で彼女は実は森の精だったのである。それに激怒した森の神が王子に呪いをかけて野獣に変えてしまい、王国をイバラで覆ってしまったのである。
例えば、日本のおとぎ話の『鶴の恩返し』であるならば、自分を助けてくれた老爺のために鶴に変装して恩返しをしたが、「禁」を犯したために鶴に去られてしまったというもので、老爺に同情できないことはない。しかし王子の場合は単に性格の悪さを露呈した末の罰なのであるから、同情のしようがなく、だからそんな野獣に好意をよせるベルにも共感できなかった。
どうもこの点が気になって、映像の優美さは評価できるものの、美女にも野獣にも感情移入できなかった。何故この作品が日本でヒットしているのか理解に苦しむ。