MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『マダム・マロリーと魔法のスパイス』

2014-11-25 00:06:31 | goo映画レビュー

原題:『The Hundred-Foot Journey』
監督:ラッセ・ハルストレム
脚本:スティーヴン・ナイト
撮影:リヌス・サンドグレン
出演:ヘレン・ミレン/オーム・プリー/マニッシュ・ダヤル/シャルロット・ルボン
2014年/アメリカ

鑑賞後に必ず物足りなさを感じる巨匠の作品について

 例えば、マダム・マロリーがオーナーを務めるミシュラン1つ星のフレンチ・レストラン「ル・ソル・プルルール(=シダレヤナギ)」では有力者たちには評判の良い鳩(=平和の象徴)の肉の料理を提供しているのであるが、向かい側に出店した「メゾン・ムンバイ」の創業者のカダムに鳩肉を買い占められて、代わりにチキン(=臆病者)料理を提供することになるというギャグや、「いつまで女王様気取りなんだ」と言われるマダム・マロリーのシーンは彼女の役を演じるヘレン・ミレンが『クィーン』(スティーヴン・フリアーズ監督 2006年)でエリザベス2世を演じているから成り立つギャグで面白いと思う。当初はカダム一家の次男ハッサンと仲が良かったマルグリットが、ハッサンが「ル・ソル・プルルール」に雇われることになった辺りから、ハッサンに素っ気なくなった理由が、自分のライバルになるというよりも、ハッサンの料理人としての実力を知っていたがために、すぐに大手のレストランに引き抜かれることが分かっていたからという演出など冴えたところもあるが、最初にカダム一家がインドからイギリスに移住した原因は贔屓にしている議員と対立していた議員の抗争に巻き込まれて店舗を失ったことがきっかけで、フランスで再起をはかろうとしながらマダム・マロリーと「冷戦状態」になる原因がパパの頑固さという点にストーリーのつなぎの悪さを感じる。
 あるいは雇っているシェフの一人が仲間2人と「メゾン・ムンバイ」に放火した後に、マダム・マロリーがフランスの国家である「ラ・マルセイエーズ」の詞を引用して、シェフを解雇してしまうのであるが、詞の内容をよくよく鑑みるならば寧ろシェフの方に分があると思う。
 ラッセ・ハルストレムは巨匠と言ってもいい監督だと思うが、最近の作品には鑑賞後に必ず何らかの物足りなさを感じてしまう。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする