MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『グッドバイ~嘘からはじまる人生喜劇~』

2020-04-03 12:49:23 | goo映画レビュー

原題:『グッドバイ~嘘からはじまる人生喜劇~』
監督:成島出
脚本:奥寺佐渡子
撮影:相馬大輔
出演:大泉洋/小池栄子/水川あさみ/橋本愛/緒川たまき/木村多江/濱田岳/松重豊
2020年/日本

「怪演」の定義について

 『初恋』(三池崇史監督 2020年)のベッキーの怪演に劣らない演技を見せるのが、主人公の田島周二の偽の妻を演じる永井キヌ子を演じた小池栄子である。同じ怪演といってもベッキーの怪演は「狂気」であり、ある程度の度胸があればできる演技であるが、小池栄子の怪演はドラマとコントの境界線上を綱渡りするようなもので、一歩でも踏み間違えるとコントに陥ってしまう上に、演技のみならず美貌も必要なのだが、小池は見事に演じている、というか小池以外に誰が永井キヌ子を演じられるのかというハイレベルである。


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『初恋』(2020年)

2020-04-03 00:54:09 | goo映画レビュー

原題:『初恋』
監督:三池崇史
脚本:中村雅
撮影:北信康
出演:窪田正孝/小柳心/村上淳/ベッキー/内野聖陽/大森南朋/染谷将太/小西桜子
2020年/日本

「失敗」を描くことのリスクについて

 本作が成功しているかどうかは微妙で、それは本作がそもそも「失敗」の物語だからである。
 例えば、押収したクスリを裏で流して儲けている刑事の大伴をヤクザの加瀬が誘って一儲けを企むのであるが、大伴は人質のモニカを警察手帳と共に葛城レオに奪われ、加瀬は殺しそこなったジュリのタレコミで組から追われる身になってしまう。
 主人公の葛城レオにしても脳腫瘍で医師から余命を告げられて自暴自棄になっていたのに、カルテを間違えられて病気ではないことを知り急に怖気づき、モニカは初恋の相手が結婚していたことを知り失恋してしまう。
 作品前半まではそのような「失敗」がテンポよく描かれていたのだが、あたかも作品自体が「失敗」を模倣するように、後半になって急にアニメーションを入れることで緊張感が失われ、ラストのレオとモニカの描写も御座なりの感は否めない。はっきり言うならば三池監督は「恋愛」を描き損ねているのである。
 しかし失敗が「成功」しているキャラクターが一人いて、ジュリを演じているベッキーなのであるが、修羅場を乗り切ったことによる(かもしれない)吹っ切れた怪演が素晴らしく、ジュリが殺されたあたりから本作は失速し始めたのではなかったか。


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