原題:『はなちゃんのみそ汁』
監督:阿久根知昭
脚本:阿久根知昭
撮影:寺田緑郎
出演:広末涼子/滝藤賢一/赤松えみな/赤井英和/古谷一行
2015年/日本
ドラマの無いところに無理にドラマを作る弊害について
2014年のテレビドラマ版において賛否が巻き起こった原作をどのように映画化したのかという興味だけで観に行ったのであるが、主人公の安武信吾のタバコにまつわるギャグなどコメディーの部分に関してはなかなかの演出の冴えを見せるのであるが、メインのドラマの部分に関してはやはり疑問が生じてしまう。
例えば、松永志保にプレゼントされた絵本の夢中になってしまい、みそ汁を作るように言う母親の言うことを無視した娘のはなに対して千恵が説教するのであるが、4歳でみそ汁が作れるほど賢い娘ならばみそ汁を作った後に絵本を読もうと諭せばいいだけで、怒ることはないのである。何故、無理して怒らなければならないのか勘案するならば、そもそも原作に「ドラマ」が無いからだと思う。
更に細かいことを言うならば、信吾が記録をつけ始めた2007年2月20日ははなの誕生日で、翌年の2008年2月20日に千恵も参加するコンサートが開かれるのであるが、2008年2月20日は水曜日で、平日にコンサートを開くなとは言わないが、普通は学校や会社があるから休日に催すと思う。無理に「ドラマ」を作ろうとするからこうなるのである。ギャグが冴えているだけに惜しい気がする。