原題:『八犬伝』
監督:曽利文彦
脚本:曽利文彦
撮影:佐光朗
出演:役所広司/内野聖陽/土屋太鳳/渡邉圭佑/鈴木仁/板垣李光人/水上恒司/松岡広大/佳久創/河合優実/栗山千明/中村獅童/尾上右近/磯村勇斗/立川談春/黒木華/寺島しのぶ
2024年/日本
監督の得意分野について
滝沢馬琴と葛飾北斎の対話シーン、あるいは馬琴と馬琴の息子の宗伯の妻のお路の執筆を巡る葛藤など、いわゆる「実の世界」はなかなかの緊張感を伴って見応えがあったのだが、馬琴が執筆している「八犬伝」のパート、いわゆる「虚の世界」になると途端にチープな映像になってしまって、まるで良質の時代劇の合間にテレビドラマの「仮面ライダー」が流れるような印象を受けた。曽利監督は「個人」を描くことは上手いと思うのだが、既に『鋼の錬金術師』でも証明されているように「団体」になると映像がスカスカになってしまう嫌いがある。
確かに予算的に厳しいことは分かるのだが、一層のこと八犬伝パートを別の監督に託せばより良いものになったような気がする。