原題:『Killers of the Flower Moon』
監督:マーティン・スコセッシ
脚本:マーティン・スコセッシ/エリック・ロス
撮影:ロドリゴ・プリエト
出演:レオナルド・ディカプリオ/ロバート・デ・ニーロ/ジェシー・プレモンス/ブレンダン・フレイザー/リリー・グラッドストーン
2023年/アメリカ
「絆」の是非について
1920年代のオクラホマ州に住んでいるアメリカ先住民族のオセージ族は元々は実直な暮らしぶりだったのだが、たまたま石油を掘りだしてしまったがために、多額のオイルマネーで白人を雇うほど生活は贅沢になった。しかしそもそもオセージ族は19世紀にカンサス州から強制されてオクラホマ州に移り住んだということは覚えていた方がいい。だから孤立しているわけではなく何となく白人たちと交流を持つ中で白人たちのつけ込む隙が出来たのであろう。
先住民たちが次々と不可解な死を遂げるものの、治安の維持は白人によってなされているだろうから全ての事案は地元の有力者であるウィリアム・キング・ヘイルによってうやむやにされ、甥のアーネスト・バークハートの妻になったモーリー・バークハートが所有する財産を奪おうと試みるのである。
モーリーは当時のアメリカ大統領だったカルビン・クーリッジに直談判しにホワイトハウスに赴き、やがてやって来たのがFBIの元となる捜査局の長官であるジョン・エドガー・フーヴァーから任を受けた特別捜査官のトム・ホワイトである。捜査は難航するし、そもそもフーヴァーは人種差別主義者だったらしい。ここはアメリカ先住民族の側に立ってギャングのボスを成敗した方が得だと考えたのであろうが、そのようなエドガー・フーヴァーの損得の計算高さの「副作用」はその後のアメリカ政治にとって決して侮れないものだった。発足当初はまだ良かったのであろう。
ところでアーネストは本当にモーリーを愛していたのだろうかと勘繰ってしまう。どのような思いでモーリーに「インスリン」を打っていたのか。しかし当時の「ヘイル家」という家族の絆を一人抜けるということは難しかったとも思う。
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