原題:『ラストマイル』
監督:塚原あゆ子
脚本:野木亜紀子
撮影:関穀
出演:満島ひかり/岡田将生/阿部サダヲ/ディーン・フジオカ/大倉孝二/酒向芳/石原さとみ/麻生久美子/井浦新/窪田正孝/綾野剛/星野源/松重豊/火野正平
2024年/日本
「的を外す」物語について
昨今問題となっている物流を俎上に載せながらエンタメ作品としてはよく出来ていると思う。ところで本作の最大の疑問とされているのは、5年前に作業所の3階から落下した西武蔵野ロジスティクスセンターの元従業員である山崎佑の事故の原因が不慮のものなのか、あるいは自殺ではなかったのかということで、それは何故か山崎のロッカーの扉の背後にかかれている「2.7m/s→0 70kg」という殴り書きの謎の記号でぼかされている。自分が飛び降りれば自身の体重であろう70キロを遥かに超える重量がベルトコンベヤーにかかってしまうことは本人も分かっているはずなのだが、視点を変えるのならばそれはまるで主人公の舟渡エレナがしばしば口にする、「的」を外す例え話のようでもある。
さらにそれは山崎の恋人で、復讐のために連続爆破事件の犯人となる筧まりかの行動が、物流システムを改善させようという思いでしたことが結果的にさらに物流を混乱させるという暗示となるだろう。