原題:『十一人の賊軍』
監督:白石和彌
脚本:池上純哉
撮影:池田直矢
出演:山田孝之/仲野太賀/尾上右近/鞘師里保/佐久本宝/千原せいじ/岡山天音/松浦祐也/一ノ瀬颯/小柳亮太/本山力/野村周平/音尾琢真/玉木宏/阿部サダヲ
2024年/日本
藩を守るということ
上映時間約2時間半があっという間に過ぎて行った。特に後半の怒濤の展開は見応えのあるものだった。ところで砦を死守していた賊軍たちが人質となった新政府軍の水本正虎を解放すれば罰することはないと言われて、最初は全員で降服することにするのだが、あれだけ犠牲者を出しておきながら新政府軍が容赦するとは考えにくく、本当に彼らは赦されると思っていたのか、あるいは当時はそのような暗黙のルールがあったのかはよく分からない。
しかし同時に思うことは、阿部サダヲが演じた新発田藩の城代家老の溝口内匠の言動で、新発田藩配下の大勢の領民を守るために数人の領民の首は斬るし、家臣の鷲尾兵士郎も裏切り、結果的に娘の溝口加奈の自殺まで招いてしまう冷酷さが際立っていた。溝口家は1600年から明治時代に至るまで12代まで藩主を務めていたのだから、それぐらいの覚悟が必要だったのだろうと察せられる。
俳優としてナダルを見出したのは卓見ではないだろうか。