原題:『想い出づくり。』
監督:鴨下信一/井下靖央/豊原隆太郎
脚本:山田太一
撮影:名佐原昭雄
出演:森昌子/古手川祐子/田中裕子/柴田恭兵/前田武彦/加藤健一/児玉清/佐藤慶/田中美佐
1981年/日本
「想い出」の作り方について
最近になってBS12で再放送されたものを見た。24歳になった3人の主人公がこのまま結婚してしまうことに抵抗を試みるというストーリーで、当時の女性はクリスマスケーキに例えられ、「25」になったら売れ残りという酷いレッテルを貼られていたことに対する反発もあったのかもしれないのだが、そうして作られた「想い出」はやっぱり男性が関わってこそ想い出になるところが当時の限界で、今ならば男性抜きでも(抜きの方が?)良い想い出が作れそうな気がする。
第12話の「戦いの日。 」という回で、土壇場で中野二郎との結婚を止めたくなった佐伯のぶ代が友人の吉川久美子と池谷香織と一緒に控室に立てこもりシーンがあるのだが、これは同年に放送された『3年B組金八先生』の第24話の「卒業式前の暴力2」を意識した演出ではないだろうか。
池谷香織は理想の男性として俳優の根津甚八を挙げていたのだが、実際にラストになって根津甚八が演じる青山信一と出会い交際するようになるのだが(ここの展開は秀逸)、池谷香織を演じた田中裕子はその後1989年に実際に沢田研二と結婚するのだからなかなかである。
もう一人気になるのが、本作の参考文献として挙げられている『ゆれる24歳 私に語ったOLたち』(1977年)の著編者の下重暁子で、長年のリサーチの結果なのか最近の下重の言動を見ていると、やっぱり普通に結婚した方が幸せになるのではないのかと思ってしまうのである。
ラストでレストランにいる吉川久美子に、そこでウェイトレスをしている国枝妙子が「何かみんな真面目になってつまらないね」とかける言葉が印象に残るのだが、結局どれほどジタバタしたところで全ての人間が行きつく先はその真面目さ、あるいは平凡さなのである。それは人が老いることと無関係ではないであろう。