THE FOURTH PARTY

チョイ毒エッセイのようなもの。コメント欄でのやりとりはしません。用事がある人のみ書き込んでくだされ。

ヘッドライトのフィッティング

2007-10-04 09:00:25 | XLR250

坂内2DAYSエンデューロは24時間エンデューロであるので、当然ナイトランがある。
ナイトランがあるという事は、灯火類を装備しなければならない。ここが他のヘアスクランブル形式のレースと異なる点でもある。レースが行われる時期の問題、山に囲まれたコースである事などから、24時間の内のほぼ半分はヘッドライトを点灯しての走行となる。だからしてヘッドライトの存在を軽視すると大変な事になる。

我がチームが過去に使用したマシンは、DT200WR(当時俺所有)、XLR250BAJA(N目氏所有、今年使用するマシン)、XR250BAJA(俺所有の、現280馬邪)。この中でXRのみはバッテリーを搭載しており、灯火のフィッティングには苦労が無かった。
残る二機種はバッテリーレス。最も困ったのはDT200WR。ランツァのヘッドライトを移植したものの明け方には電装がイカれ気味となり、ライトが暗くなった為にペースがガタ落ちしてしまった。
XLR250BAJAはノーマルでは二灯式ヘッドライトだが、実はそれほど明るいライトが装備されているわけではない。一昨年にオークションにてマルカワレーシングのラリーライト(何用なのかは不明)を入手、他は全く触る事なくそのままポン付けで使用したのだが、意外と明るかった。去年はそれを俺のXRで使用した。これもまずまずの明るさであった。

ラリー等で使用する場合、ジェベル250のライトユニットを流用するのが定石のようだが、ここではフレームを製作する。

このライトは入手当初からフレームが歪んでおり、初回はそのまま無理付けして使用。去年はMD30=XR250BAJAに合わなかった事もあってフレームを作り直した。このフレームは某氏が転倒してひん曲げてしまった。

Epsn4083

敢えて指摘はしなかったが、彼が出走前は正常だったのに、走り終えた後で曲がっていたので間違いない。
さらに今年はまたXLR用にフレームを製作する。
まずは砂曲げに使用する砂を用意する。コレは会社で在庫しているセメントを捏ねる山砂。看板屋さんは、バイク屋や車屋以外で最もバイクをイジるのに適した仕事である(と思う)。金属加工をやりつつも砂を在庫し、塗装やグラフィックの製作、道工具を一通り備える業種は他にはそうそう無いだろう。つっても看板屋さんが全てそうだという訳ではなく、我社の様なのが少数派である。俺は一頃はバイクから完全に離れていたのだが、その間も「この機械を導入すれば、バイクのあのパーツが作れるぞ、ウヒャヒャヒャ!!!」という観点から設備投資をしてきたのですよ。同業種で、バイクいじりに欠かせないTIG溶接機やサンドブラストを使っている会社は少数派。旋盤に至っては一部の特殊な業態を除き、使っている所はまず無いだろう。現在も導入したい設備は数多とある。筆頭格はレーザーカッティングマシンだが、ちとコレは零細企業には荷が重過ぎる。その他は三本ローラーやMIG溶接機かな。
さて、セメントを捏ねる砂は全体的に粒度が荒く、まちまちの粒度の砂が混ざっているので、篩いに掛けて目の細かい粒度帯の砂を作る。数日間放置して(時々天日干しした)完全に乾燥させた。

Epsn3992

フレームの材料になるのはA6063の丸パイプ30φの2.0t。ちなみに何故かは詳しくは知らないが、鉄の丸パイプに限っては全てがインチサイズなのでこのサイズ(30φ)は規格に存在しない。肉厚も1.6t、2.3t、3.2t、4.5t・・・となる。丸パイプには例外的にこれ以外の肉厚も存在する。
仕事では滅多に丸パイプは使わない。アルミとなるとなおさらだ。なので去年と全く同じ材料・・・つまり、去年使った端材の余りがまだ残っていた事になる。
コイツに先に用意した砂を詰める。最初にパイプの片側に木片を叩き込んで蓋をする。

Epsn4052

Epsn4055

Epsn4058

 ※鉄やステンレスの場合はLアングルを溶接する 砂を少し入れては棒で突き、また入れて突き・・・。スリキレまで入れたらこちらにも木片を叩き込む。ここまで散々突いて詰め込んだ筈の砂。木片の蓋を掛矢(カケヤ=大ハンマー。余談だが○エローコーンのスレッジハンマーとは、カケヤの事。どーでもいいか)で叩き込むと・・・アラ不思議!! 5cm位入ってしまうのです。

今度はライトに合わせたRに曲げるための型を作る。会社に転がっていたコンパネを二枚重ねにした物を、原寸図を貼ってミシン鋸(糸鋸盤)で切り出し。

Epsn4062

コンパネの厚みは約12mmなので、二枚重ねで24mm。30φのパイプを曲げるには充分であろう。
話しは逸れるが「コンパネ」とは「コンクリートパネル」の事である。勘違いしている人が多い様だが、確かにコンパネはベニヤの一種類であるもののベニヤ=コンパネではない。何せホームセンターでも商品の札に書かれた名称にすらベニヤとコンパネの区別の無いものも見た事がある。こういうのは売る側の責任として正確な表記をして貰いたい物だ。またコンパネ=コンポジットパネル=合板の略と思われているケースもあるようだが、一般的に「コンパネ」と言う場合は、コンクリートパネルを指すのが普通。
コンクリートパネルというのは、コンクリートの型枠に使うためのベニヤ。日本国内ではベニヤってのは合板の事を指すが、実は本来は一枚板を指す言葉らしい。合板とは、本来は品質の高い一枚板がなかなか採れないのをスライスした板を何層にも貼り合わせる事で、一枚板の代替をしようとした事に端を発するが、その後一枚板よりも合板の方が強度が高く作れるという事で高い評価を得る事になったらしい。

どうも話が逸れますな。いつもの事か・・・。
で、コンパネ製の型は定盤にクランプで固定しておき、砂を詰めたパイプは酸素アセチレンバーナーで熱する。

Epsn4065

Epsn4067

アルミは鉄等と比べて融点が低いので、溶かしてしまわぬ様に慎重にバーナーで炙る。
充分に熱したら速やかに型に押し当てつつ曲げていく。アルミパイプの曲げはステンレスに比べて楽だ。

Epsn4068

冷えたら詰めた砂を出しておく。

スライド丸鋸にアルミ用のチップソーを取り付けて、台傾斜させて規定寸法で45°に切断。

Epsn4082

三又クランプのボルト位置に合わせて材料を固定し、TIGで溶接。

Epsn4084

鉄やステンレスの場合は点付けで仮固定して直角を出したりするが、アルミの場合は点付け溶接がやり難いので、俺は母材をしっかり固定しておいて一気に溶接してしまう事が殆ど。溶接箇所は面倒でも極力擦り合わせを行い、ピッタリ合わさる状態を作ってから溶接したほうが良い結果が望める。

Epsn4087

この辺りから仕事が忙しくなり始め、一時放置。しかも製作物のレイアウトが完全に三次元。光軸の問題もあるので正しい角度に取り付ける必要があるものの、現在XLRはエンジンは降ろされ、リヤ周りも外されて日本酒のケースをスタンド代わりに立てられている状態であるので光軸は完全にカンだ。加えて去年製作したフレームはライトのオーバーハングが大きく、面食らう位にハンドリングに影響があったため、今回は極力ライト本体がネックに寄った状態にしなければならない。

これ以降の作業は手順の紹介もしようがないので割愛。前出のパイプ材は全てA6063で、板材は全てA5052の4t板からコンターで切り出した。
我社の片隅に居座っているXLR、最後は現物合わせで溶接する必要があるのだが、ケーブルが僅かに短く、TIGのトーチが届かない・・・。ズルズルと引っ張り出そうとしたのだが、本来一番重いはずのエンジンが無いので、バランスを崩してバッターン!!とブッ倒してしまった。誰も見てないので黙っておこう・・・。

Epsn4159

製作したのはアルミのフレームのみで、本体と細かいブラケット類はマルカワレーシングの物をそっくりと流用。が、ゴムマウントが千切れているのを発見。

Epsn4157

このライトは本来四つ輪用の物を流用して、レンズをひっくり返して、本体ごと逆さまにして取り付ける構造。本来は下側固定されるボールジョイント的なマウントを上にして、フレームから吊り下げるようなカタチである。下側は小さなゴムでマウント・・・というか、振れ止めが為されている。コレが千切れちゃったのだ。仕方ないのでホームセンターでゴムのスリーブを買ってきて適当に作ってやった。フレーム本体は超テキトーにバフ掛けして終了。

Epsn4160

正しく光軸が出せるのかは、点灯させてみないと何とも判断ができない。またオーバーハングを小さくしようと努力した結果、ネック周りの配線の行き場が無い。ノーマルではどうだったか忘れたが、少なくともこの車両ではコンデンサー(バッテリーレッサー)がフロントにある。位置を変えてやらなければならないかも。ハイワッテージバルブが入ってた気がするが、元に戻した方がいいかも。まあこの作業はは世界のT中代表にオマカセしよう。

コメント
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