THE FOURTH PARTY

チョイ毒エッセイのようなもの。コメント欄でのやりとりはしません。用事がある人のみ書き込んでくだされ。

レースは走る実験室(怒)

2008-08-03 17:36:18 | XR250

本日は仕事。それにしても暑くてヤル気が出ねぇ・・・。
なので息抜きに先日のレースでシフトスピンドルの先っちょが折れてしまったXR250改280馬邪の修理。
 

Img_1164

最初から何となく予想はしていた事なのだが、先日注文した純正部品が来ない・・・。
俺の住んでいる地域の場合は鈴鹿の部品センターに在庫があれば午前中受付で翌日入荷の筈。今回は月曜日の晩に部品注文に行っているので、事実上火曜日午前中発注。水曜日は店の定休日なので、早ければ木曜日には部品が手元に来る。
以前はそうだったのだ。2年半~3年前に俺がこのXR250をイジり始めた当初も、バックオーダーは殆ど無かった気がする。それが最近は一週間以上の待ちは当たり前で、悪くすれば1ヶ月待ち。カスタマーサービスには定評のあったホンダは何処へ・・・。どうなってんのさ、ホンダさん。
 
今回注文したのは先日折れてしまったシフトスピンドルと、その周りのチョロッとした部品、ガスケットキット(必要な物の内、半分程度は所有していた)、坂内2DAYSに向けての予防修理用の部品・・・クラッチ関係など。
クラッチなんかは後からでも作業可能なので、お店にはシフトスピンドルだけでも入荷したら連絡をもらえるように伝えておいた。
 
で、バラバラにしてから部品が来ないとなるとタマランので、エンジンをバラすのは敢えて止めていた。場合によっては部品が来るまで乗れなくなってしまうからだ。過去に一ヶ月以上待たされた事もあるが、もしそうなると最悪レースにすら間に合わない。
実は中古ではあるもののシフトスピンドルのスペアは所有している。だが以前に坂内2DAYS中にここのスプラインがナメてペダルが空回りしてしまうという事態に陥った事があった。今回折れてしまったシフトスピンドルも、スプラインが甘くなってきたなあとは思っていた。スペアのシフトスピンドルは、現在のエンジンを組む時に二つのシフトスピンドルを見比べて、マシな方を採用したのだ。わざわざクランクケースを割ってまで、この中古のシフトスピンドルを使うのはリスクが大きい。 
オフロードの場合は転倒してシフトペダルが曲がる事が多い。XR250を含めて大抵のオフロードバイクの場合は、簡単にシフトスピンドルが傷まないようにシフトペダルはクニャクニャな素材(普通の鉄、たぶんSPHC-Pとかと思われる)で出来ている。曲がっても手で直せる。曲がって、修正して・・・を繰り返していると今回のようにシフトスピンドルも逝ってしまうのだろう。
余談だが以前乗っていたランツァはセルを装備しているために、ベースとなったDT200R、DT200WRのエンジンよりも左側ケースカバーの飛び出しが大きく、シフトペダルは完全なクランク形状。普通に走っているのにシフトする力だけでシフトペダルが曲がってしまう事があったほど。なのでDT200Rのシフトペダルに交換していた。
 
そろそろ田中麗震愚の夏の合宿(チームに入りたいという奇特な方は参加可能)も近づいてきた。世界のトップライダー、代表T中氏によるライディングレッスンが行われる為、如何なる事情があれ参加しなければならない。お盆前は完全に仕事が詰まってしまったので、仮に部品が入荷したとしても作業はできないであろう。先行してバラさなくて良かった・・・。
で、どうするのかというと・・・。
 
溶接です。過去の溶接についての記事
 
小さな物をくっつける場合はTIGが有効。肉盛りも限りなく小さく出来る。逆に大量に溶接するのはTIGでは不利。
先に書いた、レース中にスプラインがナメた時は、溶棒(アーク溶接)で修理。当然現場での修理なので、エンジンウェルダー(エンジン溶接機)しかなかったのだ。溶棒は最も緻密な作業がやり難い溶接。溶け込みそのものは深いという特性があるが、比較的広範囲を溶かしてしまう。たしかペダル側のスプラインだけがナメたため、本来はシフトスピンドルを交換する必要は無く、最初は遠慮がちに甘めに溶接したらモゲた。で、結局完全に溶接する事に・・・。
半自動溶接機の場合は溶棒よりは緻密な作業が可能だが、どうやってもモリモリに肉を盛り付けてしまうという特性がある。そして溶け込みが浅い。
 
言葉だけでは判り難いと思うので、同じ材料をそれぞれの溶接方法でくっつけてみた。
被覆アーク溶接(溶棒)。

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溶接直後はスラグ(アメ)が形成されているのでチッピングハンマーで除去。

Img_1153

あまり肉盛りされていないのが特徴。逆に言えば母材(くっつける材料の事)同士を溶かしやすく、溶け込みが深い。欠点は見栄えが今一つな事。肉薄な材料には不向きで、写真の1.6tの材料だと少々気を遣う。
 

半自動アーク溶接。これはその中でもCO2溶接というヤツ。その他混合ガスを使うMAGと、アルゴンガスを使うMIGがある。肉がモリモリになっているのが特徴。逆に母材はあまり溶けていない。周りに若干のスパッターがあるが、溶棒よりもはるかに少ない。同じ半自動でもMAG、MIGになるとスパッターは少ない。
緻密な物を製作したいとかでなければ、TIGよりもMIGの方がイージーだし、使いやすいのではないかと思う。
 

Img_1154

TIG。上の二種類が火花を散らしながらの作業なのに対して、TIGは「シューッ」と穏やかな作業が可能。極小ポイントの溶接が可能で、肉薄の材料にも対応できる。写真のT付け溶接で、側面の突合せ部分は溶加棒を足しているのでビードが少し盛り上がっているが、入角(いりずみ)部分・・・つまり90°の内側部分の溶接はここでは溶加棒(フィラーワイヤー)を足してないので盛り上がっていない。むしろヒケが出て凹んでいる。

Img_1158

 

趣味で溶接したい人が使うには、溶棒が有力候補。専用の溶棒を使えばステンレスは溶接できるが、アルミは不可能。その他の2種類は原則としてガスが必要なので、予備知識のない一個人の導入は若干難しい。ガス不要の半自動も出回っているので、そういうのが良かろうかと。

また、動力(三相200V)の電源を必要とする機器も多い。一般家庭に引き込まれているのは「電灯」というヤツで、単相100V。最近は単三(単相3線式)が多いので200Vは取れるが、動力機器は使えない。

ホームセンターで売られているアーク溶接機は100VでOK。ノンガスの半自動も100VでOK。ごく一部のTIGは現場工事への持ち出し用に100Vで使用可能だが、割高であり、確かアルミの溶接できるものはラインナップが無かったと思う。
 
今回シフトスピンドルを溶接するのはTIG。

Img_1166

シャフトの後部は固定用のボルトが通るので肉盛り不可だが、その他の部分は小さな肉盛りであれば可。

Img_1167

アッサリ復活。

 

それにしても間近で見ると・・・280馬邪は、ボロい。
 
さてさて、純正部品はいつ来るのだろう・・・?

コメント
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