尾根筋の末端に二人の人が見えた。うつむき加減でゆっくりと移動している。「ワラビ採り」とすぐに分かった。
この場所のスミレもワラビも、すでに絶滅状態だが、それでも人は丹念に捜し歩いて採り尽くしていく。ほとんどの人が中高年で若い人たちは皆無である。里山が豊かだったころの記憶や体験を引きずって踏襲しているのだろうが、すでに「豊かでなくなった里山」に気づいて欲しいが絶望的だ。
採集できたのは「保全活動の結果」だし、翌年のために初夏のころには採集を止めてほしいのだが多勢に無勢なのである。今日、久しぶりに山に来た、ご近所さんのご夫婦、セリとフキを袋に入れていた。話を聞くとトンボ池周辺でフキは採集したという。
「景観や環境植物として植えたものですよ」の説明に恐縮していたが、「そこらにあるものは野の物」、一般的にはそうなんだろうね。保全の後から荒らす人が来る、これは精神衛生に非常に悪い。