トロルお爺の”Satoyaman”林住記

生物生産緑地にて里山栗栄太が記す尻まくりワールド戯作帳

渋皮煮の煮汁

2019-10-13 | 何よりの楽しみ
 渋皮煮を作る途中、煮立てて灰汁を取っている時に煮汁の色に魅かれた。前期恍惚者、いいえ前期高齢者にありがちな斑模様なのだろうか突然、回路が繋がったりショートしたりする。まあ、木久扇師匠に近いと言えば当たらずとも遠からずだろうか・・・。
 煮汁を染液に利用する事は珍しくはないだろうが小生的には初めての事である。改めて生地を購入するほどの取り組みでもないから、退職時に出羽三山の山伏体験修行で使用した下帯を染めてみることにした。これなら手間だけで済む。

 栗を煮立てる際に重曹を投入しているから、これがどういう作用をするか不明だったものの、煮汁に規定量の塩を加え煮立て、その液に下帯を入れ撹拌すること小一時間で引き上げる。ざっと水洗いし中性洗剤で洗濯し陰干しして完成した。
 思ったほどの色合いは出なかったが風合いは悪くない。アイロンをかけ比較のために並べて撮影したものの、使い道に当惑する。多分、使うことなどないだろうが使ってみたい気もしてくる。

 しかしながら下帯は純白であるからこそ日本男児の男前が上がるというものであって、淡いこの色では渋さ風格が出てこない。いくら渋皮煮汁で染めたとはいえ染めてしまえば色調が独り歩きするのだった。
 まあ、素人考えだけれど柿渋が防虫防腐効果があると聞くから栗渋も「柿渋も渋のうち、栗渋も渋のうち」の理屈で申せば同じだろう。そうならばこそ栗渋染めの下帯は日本男児の風格を上げ、老いたとはいえ大事な男前、玉栗二つを防虫防腐効果で守ってくれるに違いないとの結論に至った。玉栗を栗渋染めの下帯で締める、斑ではなくちゃんと繋がりがあるしなかなかの妙ではないか。

 「いざ鎌倉」の事態にはこの下帯で出陣じゃあ!。これで木久扇師匠寄りから大久保彦左衛門寄りになるのは間違いない。しかしこの起承転結、脱線しているような気もするのだが、そこが解らん!。
 それはともかく、その玉栗は丹波栗ではないのであって世間にはなじみのない越路栗、てなもんや三度笠…。

          渋皮煮の煮汁に浸ける事、小一時間    ➡     右側が染め出した下帯