トロルお爺の”Satoyaman”林住記

生物生産緑地にて里山栗栄太が記す尻まくりワールド戯作帳

濡れそぼっても親業貫徹

2020-05-11 | 小父のお隣さん
 朝からそぼ降る雨模様、図書館は閉館中だし芳香蒸留水作りも昨日4時間も立ちっぱなしでやったばかり。で「小人閑居して不善をなす」の諺のごとく、邪な考えが浮かんだのだった。「そうだ!出歯亀ならぬ出箱爺をやろう!」と朝食もそこそこに拠点小屋まで出箱を取りに行った。家で使うつもりも無かったので工作用の木片入れに使っていたのだった。
 イソヒヨドリの抱卵中は静かなものだったが孵化した後は給餌する親鳥が雨樋の化粧カバーに降りる「トン」でブラインドを閉じていてもわかるし、玄関でもひな鳥の鳴き声が聞こえる。デスクからは直線距離で120cm、玄関先では手を伸ばせば巣直下の雨樋の隠しカバーに触れる近さだ。

 自宅デスクの前の上げ下げ窓をあけ出箱を挟んで完成。出箱は上げ下げ窓の重みで落ちないのである。さっそくデジカメを出しデスクに腹ばいになり、この穴から鏡胴を覗かす。レンズから巣の入り口までおよそ1メートル、至近距離で拝観自由などそう巡り合える事でもない。
 探鳥家なら別だろうが、探鳥家でない小生のこの状況は端的に言っても「覗き」であり、イソヒヨドリのプライバシーを侵害する行為にも思ったものの、我が家に不法滞在している相手とではおあいこであるしウインウインのかかわりでもあろうと勝手に断行。

 すぐにやってきたのは半端ない肩こりだった。腹ばいで両肘をつきデジカメを構えて凝視していては肩がこるのは当たり前なのだった。それでなくとも慢性的な肩こりが続いている現状では姿勢を保つ闘志もうせ、代替え案は無いかと思案した結果、寝かした三脚に固定してカメラの位置を整えておけば、後はシャッターを押すだけではないか・・・。
 この結果で、だいぶ楽になったもののシャッターチャンスには肘付き姿勢をとらざるを得なく、結局は両肩には湿布薬を貼ってしまった。

 電源入れっぱなしモニターしっぱなしでも五分ごとに電源が落ちる。そのたびに電源を入れ構図を戻さなければならない。突っ立っていてもモニターからは目が離せないし、こんな時は自動撮影できると楽だろうと思った次第だ。イソヒヨドリが巣作りを始める前、会所有の自動カメラを設置するつもりで借りてきたのだが、モニターが映るだけでセンサーが働かず撮影出来ない代物だった。購入した当時、写した写真も報告も誰も知らないから最初からオシャカのカメラだったのだろう。フイールドでセンサーカメラを駆使している人に見てもらったけれど「中国製は多々、こんなことが発生します。僕も何台も駄目だった」でチョン。

 哀しいかな結局肩こりを押して「我慢我慢・辛抱辛抱・痛い痛い」と傪三つに包まれ撮影したのだった。PCで拡大すると羽毛は濡れそぼっており、水をはじく羽毛ではないように思ったのだが、まあ、濡れた羽毛を観たのは少年時代に絞めたニワトリとイソヒヨドリだけなので結論は出せない。
 「出箱の亀爺」になったのは2017年以来だから3年ぶりの事だ。今にして思えば今よりも気安く撮影出来たように思えるのは年寄りのひがみ、と言うより経年劣化なのだろう。
                 

 野生でも雨の日は餌探しも大変なようで2017年の撮影は晴れの日だったし戻ってくる間隔も頻繁だった。今回は30分以上も戻ってこない時が普通で、それで毛虫1匹2匹ではヒナは腹が満たされないし親鳥は濡れそぼっても餌探しに奔走しなくてはならず、小生は待ちくたびれつつ肩こり満載で「あなたを待てば肩がこる・・・濡れて来ぬかと気にかかる」と待つ身の辛さ肩に滲みたのだった。
 「そぼ降る雨のしずくよ・・・」とか歌ったのは森山良子だったか、まあ人生でんがな。