隣接地をフィールドにしているグループの例会日だったので、活動地内の流路の刈り出しと散策路の復旧を、事後承諾になったが会長に報告に行った。
植林地内の下草刈りをしていたが、一区切りついたところで下山して、小生が流路の刈り出しを行った続きを刈り払い始めた。おいおい刈り払うつもりと言ってくれたけれど、なんだか尻を叩いてしまった気分である。
この沢で、最初に水辺を作り始めたグループではあるが、侵略者の泥水地に習って、子供達が近寄り易いような設えにする心算だとも言ってくれた。一般的にテリトリー内で活動されて、気分が良い訳は無いと思うのだが、小生のわがまま勝手を受け入れてもらっている。ありがたい事である。
泥水池で子蛇が泳いでいた。ヤマカガシの子どもだった。毒蛇であることは壮年になって知った事であるけれど、子ども時代に手に取った記憶は無い。アカハライモリもそうなのだが、腹部の赤と黒の斑模様が敬遠したくなるのである。
今回、手にとって眺め回したのだが、記憶と合致しない二点があった。一つは首の黄色のベルトで、お洒落と言えばお洒落な色彩だけれど、成体にはあったかどうか朧だ。また、蛇の舌先は分かれているとばかり思っていたのだが、アイスピックのように先細りしている。
チロチロと出してくれなくて、出しっぱなしだったのは、首根っこを押さえていたからのようで、地面に降ろしたらチロチロやっている。記憶や認識など曖昧なものである。
散策路へ崩れた土砂を取り除くのに、下部の流路の様子を確認したくて、2mを越える根笹を刈り払ってみたら、しっかりした水路があった。泥水地の上流部だから、流路の存在は理解していたが、他のグループの活動圏だし、覗くこと等なかった場所である。
たかだか50m程度の水路なのだが、周辺にはない貴重な環境に思えて、トンボやホタルの飛行ルートに変貌させたくなった。そこで、無断で散策道修復の報告がてら、グループの代表に「刈り払い」を打診したら喜んで承諾してくれたのである。
結局、今日も猛暑日となり、汗ビッショリで作業を終えたが、棚田だった平坦地と斜面の根笹を片付ければ、気持ちの良い水辺が出現するだろう。今まではトンボの飛行など無理な状況だったけれど、これからはヤンマの巡回飛行やイトトンボ、中型トンボの雄プレイが見られるはずだ。
つるんで仕込み 馴れ合い隠す
大人も大人 学ぶ子ら ハア コリャコリャ 似るのお馬鹿さん
今日生くを助けぬ名刺でいいんかい リアリティ・バーチャル
今日生くを重ねて凶と別れた日 寂聴
ゲーム脳脱法はぶは機能だもん 羅生者
埒も無し薄ら笑いの雛飾り 二宮損得
好きだから意地悪した時いじめっ子 のび太
みよちゃんを泣かしたのとは大違いいじめと言うは隠す始まり 北原謙二
泥水地の最終段、放流口は落差がある。元々は浸食溝だったところで木の枝などの廃棄残渣物が十分に取り除かれていない場所だ。
構築する時に土嚢を積み上げて土台を作ったのだけれど、水の透過が良いから漏水も目立ってきた。幸いにも貯水池部分からの漏水は無いのだが、段差工の堤側への漏水が激しくなってきた。
このまま放置すれば、堤自体が損なわれるから、考えた末にカンガレイの大株を土嚢に替えて押し込んだ。土嚢自体の物理的強度は不足ではないものの、水の通る隙間が出来ても拡大していくだけで、自ら修復する機能はない。カンガレイならシーズンで30~40cmΦほどの繁殖をする。この根株で漏水に対抗しようとの魂胆である。
新たに堤を基礎から積み上げる元気はないから、ここはカンガレイの株張りの旺盛さに助けを借りた。
林内の再萌芽した孟宗竹を除伐していた時の事、周囲にスズメバチが一匹、二匹と旋回しては戻っていく。「煩いなあ」と思ってハッと気がついた。巣が近くにあるかも知れない。
森を席捲していた孟宗竹を全伐した結果、木も草も竹も伸び放題の斜面の林床では「スタコラサッサ」と逃げるわけにもいかない。スズメバチの戻っていく先を確認しつつ、見通せるように小竹や潅木を静かに切り取って寄って行ったら、その先に巣を確認した。作業していた1m圏内だった。ボール状でお茶碗二個合わせた大きさだから、ソフトボールより大きめだ。
巣の形からオオスズメバチでないように思えたが、飛翔する個体はオオスズメバチと感覚的には差など無い。斜めに伸びた竹の枝に巣がついていて竹の枝葉がセンサーの様に振動を伝えるので刈り取るのは放棄した。立ち位置の足元が竹の根元だった。蜂に気がつかずに刈り取っていたら襲撃されたのは間違いない。
今日は、蜂の「偵察・確認行動」と言う習性で助かった様なものだ。「謝々」である。
作業していた前で、シオカラトンボが空中で絡み合い、そのまま削っていた斜面に降りた。思わず「えーっ!」と声を上げたのは、雄同士?の交尾だったから…。
これは「世界初」、「昆虫界にも大異変」、「トンボも同性婚」と、次々に新聞の見出しまで妄想してしまった。世紀の大発見を記録に残さなくてはと、立ち位置から一枚撮影したのが左の写真。
ケータイではこれ以上アップに出来ず、同じ方向からだけでは検証に耐えないと思って、後方の堤に移動する途中で離れてしまった。地面に止まったままの個体を見たら、何のことは無いムギワラトンボだった…。いつもと言うわけではないが、交尾の後、メスはしばし休息を取るケースがある。オスはと言えば上空で留まっている。
結局、メスが産卵を終えるまで上空で守っていた。律儀な虫である。見届けた小生は暇な虫である。