NHK総合TVで放送されている「世界ふれあい街歩き」は、独特のカメラワークと語りで外国の都市を紹介する優れた番組だと思って、すっと見ていた。最近では、視聴者のリクエストを取り入れるなどして、NHKもかなり力を入れているようだ。
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ところが、今日放送された「ハルビン」と先日の「台南」を比較してみると、NHKの思惑がはっきりと浮かび上がってくる。それは、NHKが中国と台湾を採り上げるときの常套手段だ。
中国の「ハルビン」では、公園で路上に習字を書く老人に「毛沢東の詞を書いているんだ」と語らせ、続けて「中日友好」と書かせた。老街では、105年前に日本人が造ったというデパートの執務室にカメラを通させ、ずいぶんと長いカットで映像を流した。
(ハルビンの公園で老人が毛沢東の詞を書いていた…)
(ハルビンの公園で次に老人が書いたのは「中日友好」の文字)
(満州=日本時代の建物だと強調する責任者)
これに対し、台湾の「台南」では日本統治時代に建てられた台南駅からカメラをスタートさせたのに、この歴史的建造物に対する説明は一切なし。ただ、改札口の画面で「懐かしい感じがする」というコメントが入った。それはそうだろう、駅舎も改札口もプラットホームも駅員の仕事も、すべて日本統治時代の鉄道システムを継承しているのだから…。ちなみに、私が実際に見たところでは、台南駅の構内には、日本統治時代の記念写真が飾られていて、鉄道開通に伴う社会開発(近代化)の模様がきちんと説明されている。そこには、日本に対する批判などは一切書かれていない。
次に、インタビューで街角で弁当を売る老人が日本語をしゃべったのに、これも一切無視。どうして老人が親しげに日本語をしゃべるのかを一言説明すべきだろう。台南市内の旧跡を紹介したときにも、日本との関わりには一切触れなかった。これでは、日本の若者達が見たら、台湾は中国の一部なのだという印象を植え付けられてしまう。NHKは、日本と台湾との歴史的絆については、一切触れようとしないのだ。
巷間伝えられるところでは、NHKは「アジアの”一等国”」に対する批判をかわすために、いやいやながら「台南」を採り上げたのだという。そういう批判が真実味を帯びてくる放送内容であった。
台南では全く日本との関わりを採り上げなかったのに、何故、ハルビンを歩くと、「毛沢東」と「日本時代の建物」にふれあってしまうのか。おかしいではないか?これは、日本が満州を侵略したのだけれども、毛沢東の共産党が解放したのだという「刷り込み」操作ではないのか? 「中日友好」という文字に薄ら寒い思いがしたのは私だけなのか?
「JAPANデビュー アジアの”一等国”」(2009.4.5放送)を見るまでは、「まさかNHKが…」と思っていた。しかし、その「まさか」をNHKはあらゆる番組で行っているのだ。民放局ならいざ知らず、公共放送たるNHKがこんなに露骨な情報操作をしてもいいのだろうか。ますます、受信料など払う気がしなくなった。