東京の台北駐日経済文化代表処(=台湾駐日大使館)で24日まで開かれている「八田與一展」にでかけた。
八田與一(1886-1942)※は、台湾総督府の技術官吏で、台湾の治水事業に尽力し、台湾の近代化に大きな役割を果たした人物。日本でより台湾で有名な人だ。
※ http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AB%E7%94%B0%E8%88%87%E4%B8%80
地下鉄の白金台(しろかねだい)駅に降りたのだが、東京メトロの駅内表示には「台北駐日経済文化代表処」は、見あたらない。「エリトリア大使館」「ベラルーシ大使館」があるのに、日本にとってその何百倍も交流が深い台北駐日経済文化代表処は、表示さえないのだ。何という仕打ちだろうか?
(東京メトロ 白金台駅の案内表示には、台北駐日経済文化代表処が書かれていない)
東京メトロは「中国筋」に遠慮して、台北駐日経済文化代表処の存在を表示しないのだろうか? では、港区の案内板はどうかと思ったら、これもやはり表示されていなかった。周知の通り、台湾は、東日本大震災に対して230億円もの義援金を送ってくれた、最も友好的、親日的な国家だ。我が国は、いつからこんなにも恥知らずになったのかと愕然とした。現に存在する国家を「見て見ぬふりをする」日本国・日本人には、ろくな未来は待っていない…。
(台北駐日経済文化代表処)
八田與一の写真や資料を見て感じたのは、気高い精神を持った戦前の日本人の代表的人物だということ。「公」のために誠心誠意尽くし、私利私欲を求めない。大言壮語をせず、実務を誠実に行う。台湾の日本語世代が言う「日本精神」を身を以て示した人だ。
台北駐日経済文化代表処は、実質的に中華民国=台湾の駐日大使館である。そこでこの展示会が開かれたのは、重要な意味を持つ。八田與一という個人を顕彰するかたちをとっているが、八田の業績は、すなわち台湾総督府の行政実績である。台湾総督府は、当時の最新の知識、技術を導入して、台湾のインフラを整えた。台湾の現政権が、実質的に、日本統治時代の台湾を肯定的に高く評価していることが分かる。
「戦前、日本はアジアで悪行ばかり働いた」「植民地支配は悪」「中国はひとつ」などという歴史認識に呪縛されている人は、ぜひともこの展示会を見てほしいと思う。