風邪をひいて寝込んでいたが、ニュースで岡田英弘氏の訃報を知る。
ずっと以前、私はこのブログで岡田氏の著書「歴史とは何か」について、感想文を書いたことがある。従来の「中国」中心の東洋史の枠を打ち破り、日本史をも包括した「岡田史観」を打ち立てた大学者だった。
数年前、東京外国語大学で「モンゴル近現代史」(二木博史教授)を聴講したこともあって、モンゴル史に興味を持ち、岡田氏の一般向け著書はほとんど読んだと思う。その結果、「一つの中国」というイデオロギーのウソはもとより、モンゴル、満洲、チベットといった「中華」外縁の歴史を知らなければ、本当の「中国史」は分からないということを知った。
時代背景と世代を考えると、岡田氏のような歴史学者はもはや登場しないのではないか。
一読者として、岡田氏のご冥福を心よりお祈りしたい。
岡田英弘氏が死去 歴史学者
- 2017/5/30 20:15 日本経済新聞
岡田 英弘氏(おかだ・ひでひろ=歴史学者)25日、心不全のため死去、86歳。連絡先は藤原書店。告別式は近親者で行った。喪主は妻で歴史学者の宮脇淳子さん。
1957年、日本学士院賞を受賞。中国史をはじめ、世界史を幅広く研究した。著書に「歴史とはなにか」など。