はるばる上京して「パーシー・フェイス楽団コンサート」に行く。
東京池袋の「東京芸術劇場」は中高年が長蛇の列。満員札止めという感じの盛況だった。よく見ると、杖をついていたり、家人らしき人に連れられて来たという感じの75歳以上の老人も目立つ。反面、若い人はほとんど見られないので、前回の来日コンサート(2008年6月)よりもさらに聴衆が高齢化したという印象だ。
(高齢者ばかりの会場)
オーケストラの指揮は、テリー・ウッドソン(Terry Woodson)。この人のキャリアは分からないが、相当な巨漢で体調が悪そう。歩くのが辛そうな感じだった。極東のドサ周りはさぞかし堪えるのではないかと同情した。
オケは、38名編成。その内訳は、バイオリン12,ビオラ4、チェロ4、コントラバス(ウッド・ベース)1,トランペット(コルネット含む)4,トロンボーン3,ホルン2、木管楽器セクション4、ギター1、ピアノ1、ドラムス1,パーカッション1だった。木管楽器セクションと書いたのは、通常は4名がフルートを演奏するのだが、曲によってはサックスに、あるいはオーボエ、イングリッシュホルン、ピッコロなどにも持ち替えて演奏する。つまり、複数楽器のプレーヤーということで、その器用さに感心する。2008年のコンサートのときに、日本人のクラシック奏者が聴きに来ていて、この楽器を持ち替えるプレーヤーの技術の高さに感心していた※と記憶する。
※ http://ktrb.seesaa.net/article/99928973.html
(コンサートの光景)
今回のコンサートで特筆されるべきは、PAを使わずに演奏したこと。PA(Public Address=マイクによる増幅)を使った途端、生(なま)の音が持つ繊細さは失われてしまうから、パーシー・フェイス楽団のような編成では、使わない方がいいに決まっている。だが、会場がクラシック専用ホールでないと、生(なま)の音が豊かに響かないので、やむを得ずPAを使っているわけだ。その点、東京芸術劇場は、1年半にもわたる改修工事を経て、昨年秋リニューアルオープンしたばかり。反響板の取り付けが改善されるなど、以前より豊かな残響音が得られるように工夫されたという。パーシー・フェイス・サウンドにピッタリとなったということか。
演奏された曲目は、おおよそ次のチラシの通りの23曲。ただし、クインテットで演奏する「枯葉」が加わるなど、若干の変更があった。このほかに、アンコールとして次の5曲が演奏された。①夏の日の恋、②サウンド・オブ・ミュージック、③アイム・ゴナ・ゴー・フィッシグ、④サヨナラ、⑤夏の日の恋'76
コンサートの全体的印象は、前回(2008年6月、オーチャード・ホール)よりずっとよかった。PAを使わない生(なま)のサウンドの方がずっといい。それに、このパーシー・フェイス楽団のメンバーは、特に金管・木管に腕達者のプレーヤーが揃っている。以前、頻繁に来日していた「マントヴァーニ楽団」と比べると、はるかに上手で聴き応えがある。
「ムード音楽」「イージーリスニング」といったジャンルは、まさに黄昏時を迎えつつある。この「パーシー・フェイス楽団」だって、実は日本向けに臨時編成された、名前ばかりの楽団なのだ。日本以外で、この楽団のツアーが行われる予定など全くない。「パーシー・フェイス・ディスコグラフィ」※の制作者であるアラン・バンティング氏にこのコンサートの様子を伝えたところ、次のような返事が届いた。
「How I envy you the fact that the Percy Faith Orchestra still tours Japan. Britain never had such a thing, even when Percy was alive - his only visit here was to make a couple of BBC TV programmes. 」
※ http://www.pelstream.co.uk/pfdiscography.htm
その日本でも、高齢化がさらに進み、大震災などの社会的不安が渦巻いている。そう考えると、今回のコンサートが見納めだったと後になって気づくのかも知れない。その意味でも、聴いておいてよかったと思う。
東京池袋の「東京芸術劇場」は中高年が長蛇の列。満員札止めという感じの盛況だった。よく見ると、杖をついていたり、家人らしき人に連れられて来たという感じの75歳以上の老人も目立つ。反面、若い人はほとんど見られないので、前回の来日コンサート(2008年6月)よりもさらに聴衆が高齢化したという印象だ。
(高齢者ばかりの会場)
オーケストラの指揮は、テリー・ウッドソン(Terry Woodson)。この人のキャリアは分からないが、相当な巨漢で体調が悪そう。歩くのが辛そうな感じだった。極東のドサ周りはさぞかし堪えるのではないかと同情した。
オケは、38名編成。その内訳は、バイオリン12,ビオラ4、チェロ4、コントラバス(ウッド・ベース)1,トランペット(コルネット含む)4,トロンボーン3,ホルン2、木管楽器セクション4、ギター1、ピアノ1、ドラムス1,パーカッション1だった。木管楽器セクションと書いたのは、通常は4名がフルートを演奏するのだが、曲によってはサックスに、あるいはオーボエ、イングリッシュホルン、ピッコロなどにも持ち替えて演奏する。つまり、複数楽器のプレーヤーということで、その器用さに感心する。2008年のコンサートのときに、日本人のクラシック奏者が聴きに来ていて、この楽器を持ち替えるプレーヤーの技術の高さに感心していた※と記憶する。
※ http://ktrb.seesaa.net/article/99928973.html
(コンサートの光景)
今回のコンサートで特筆されるべきは、PAを使わずに演奏したこと。PA(Public Address=マイクによる増幅)を使った途端、生(なま)の音が持つ繊細さは失われてしまうから、パーシー・フェイス楽団のような編成では、使わない方がいいに決まっている。だが、会場がクラシック専用ホールでないと、生(なま)の音が豊かに響かないので、やむを得ずPAを使っているわけだ。その点、東京芸術劇場は、1年半にもわたる改修工事を経て、昨年秋リニューアルオープンしたばかり。反響板の取り付けが改善されるなど、以前より豊かな残響音が得られるように工夫されたという。パーシー・フェイス・サウンドにピッタリとなったということか。
演奏された曲目は、おおよそ次のチラシの通りの23曲。ただし、クインテットで演奏する「枯葉」が加わるなど、若干の変更があった。このほかに、アンコールとして次の5曲が演奏された。①夏の日の恋、②サウンド・オブ・ミュージック、③アイム・ゴナ・ゴー・フィッシグ、④サヨナラ、⑤夏の日の恋'76
コンサートの全体的印象は、前回(2008年6月、オーチャード・ホール)よりずっとよかった。PAを使わない生(なま)のサウンドの方がずっといい。それに、このパーシー・フェイス楽団のメンバーは、特に金管・木管に腕達者のプレーヤーが揃っている。以前、頻繁に来日していた「マントヴァーニ楽団」と比べると、はるかに上手で聴き応えがある。
「ムード音楽」「イージーリスニング」といったジャンルは、まさに黄昏時を迎えつつある。この「パーシー・フェイス楽団」だって、実は日本向けに臨時編成された、名前ばかりの楽団なのだ。日本以外で、この楽団のツアーが行われる予定など全くない。「パーシー・フェイス・ディスコグラフィ」※の制作者であるアラン・バンティング氏にこのコンサートの様子を伝えたところ、次のような返事が届いた。
「How I envy you the fact that the Percy Faith Orchestra still tours Japan. Britain never had such a thing, even when Percy was alive - his only visit here was to make a couple of BBC TV programmes. 」
※ http://www.pelstream.co.uk/pfdiscography.htm
その日本でも、高齢化がさらに進み、大震災などの社会的不安が渦巻いている。そう考えると、今回のコンサートが見納めだったと後になって気づくのかも知れない。その意味でも、聴いておいてよかったと思う。