安倍首相が平昌五輪出席と聴いて、耳を疑った。きょう国会答弁で「開会式出席に合わせて日韓首脳会談を行いたいとの意向を明言。慰安婦合意について「日本政府の考え方を明確に伝えていきたい。韓国側にも約束を誠実に履行していくよう働き掛けていく」と強調したとか。(下記参照)
通常の人間関係では、不当な言いがかりをつけられたとき、相手方の懐に飛び込んで「理」を説くなど、マトモな人はやらない。そんなことをするのは、人格高潔な御方か、情弱の凡人だ。安倍さんが自身の判断でこの結論を導いたとすれば、安倍本人はどちらに属する人なのか。本当にガックリさせられた”決断”だった。
「朝日」のAERAは自ら捏造した「従軍慰安婦」問題を棚に上げて、安倍首相の決断を皮肉たっぷりに書いている。(下記参照)高野孟にコメントさせる時点で、「朝日」の下心はミエミエなのだが。
政治家はリアリストでなければならないから、床屋政談ようにはいかない。それはわかるが、今回感じるのは、安倍さんは米国からの圧力に屈したのではないかということだ。
金正恩が「韓国には核ミサイルを落とさない。目標は米国だ」と言ったとたん、韓国民は「民族統一」の幻影に憑りつかれてしまった。両者の思惑はただひとつ、日本に一矢報いる、すなわち報復することだ。北の核ミサイルが日本を標的にしているというのに、東京で最初のJ-アラート訓練が行われたのは、一昨日(22日)のことだった。
安倍首相の決断が、深慮遠謀、熟考の結果なら仕方がないが、国民のことなど歯牙にもかけず、自らの政治的利益だけを追い求めるのだとしたら、とても支持することなどできない。安倍さんには、ホントにガッカリだ。
安倍首相、平昌五輪開会式に出席=慰安婦新方針、拒否伝達へ=対北朝鮮では連携確認
2018年01月24日 18:05 時事通信社
首相は24日午後の衆院本会議で、開会式出席に合わせて日韓首脳会談を行いたいとの意向を明言。慰安婦合意について「日本政府の考え方を明確に伝えていきたい。韓国側にも約束を誠実に履行していくよう働き掛けていく」と強調した。
高度に仕組まれた安倍首相の平昌五輪出席のシナリオ
2018年01月24日 19:52 AERA dot.
安倍晋三首相が2月9日に行われる平昌五輪開会式に出席することになった。第一報を報じたのは1月24日付朝刊の産経新聞で、前日に首相官邸でのインタビューで安倍首相が自ら明らかにしたという。
安倍首相の開会式出席については、慰安婦問題について韓国の文在寅(ムンジェイン)政権が新方針を示したため自民党内の保守系議員を中心に反発がおき、欠席するとの報道が大勢だった。
なかでも開会式は欠席するべきと主張していたのは、スクープインタビューを掲載した産経新聞だ。
1月11日付朝刊では、複数の政府関係者の話として一面トップで安倍首相が開会式への出席を見送る方針であると報道。19日付朝刊の一面コラム「産経抄」では、それでも党内の重鎮である二階俊博自民党幹事長や公明党の山口那津男代表らから出席を求める意見が相次いでいることに「論外である」「茶番劇になりかねない平和の祭典に首相として関われば、北朝鮮の思うつぼだ」などと記している。
出席反対派の急先鋒ともいえる産経新聞に24日、登場した安倍首相は、「韓国側が一方的にさらなる措置を求めることは受け入れることができません」と、予定されている日韓首脳会談に毅然たる姿勢でのぞむ決意を披露した。
また、二面では「首相 ぎりぎりの決断」と題した内幕記事を掲載。政府高官の話として「米ホワイトハウスからも、安倍首相に開会式に出てほしいという強い要請があった」とのコメントを紹介している。そのうえで、記事本文で「韓国に対し、行き過ぎた対北朝鮮宥和政策に走らないようクギを刺したい米国が、パートナーとして安倍首相を指名した形だ」と解説している。
だが、足元の自民党内ではいまだに不満がくすぶっている。
参加表明後の24日午前に自民党本部で開かれた「日本の名誉と信頼を回復するための特命委員会」では、出席に反対する声が相次いだという。一方、ある自民党の閣僚経験者は、今回の経緯についてこう解説する。
「メディアに開会式は欠席すると報道させていたのも計算の上で、反対論を盛り上げてから、安倍さん自らが韓国に乗り出す形にしたかったのでしょう。安倍さんは、保守系議員に反対されても、平昌に行くことについては早い段階で覚悟を決めていたようだ」
開会式には米国のペンス副大統領も出席する。北朝鮮情勢が緊迫するなか、日米韓の首脳が韓国で一堂に会することになる。「インサイダー」編集長でジャーナリストの高野孟氏は、こう話す。
「そもそも米国は、今月9日に行われた韓国と北朝鮮の南北閣僚級会談を歓迎しています。というのも、トランプ政権で本流にいるティラーソン国務長官らは、現時点では戦争回避のために対話路線に持ち込むことで一致している。そのなかで安倍首相だけが圧力一本槍で、軌道修正せざるをえない状況に追い込まれていた。また、慰安婦問題で日韓両国で不信感があっても、目前に迫っている戦争危機の対応とは別に考えるのが当たり前。その意味では、安倍首相は出席反対派に惑わされることなく、理性的な判断をしたということでしょう」
ここ数日の開会式に出席すべきか否かのゴタゴタは、反対派をなだめるための茶番劇だったということか。(AERA dot.編集部・西岡千史)