お魚三昧生活

鹿児島の定置網で獲れる魚や市場の魚、鹿児島大学総合研究博物館魚類ボランティア(魚ボラ)の事などを紹介します!

嬉しいクリスマスプレゼント クボアジ

2024年12月20日 | 定置網
 今日は定置網漁で操業中、網の端に丸い魚が引っ掛かっているのを発見。体型から今よく入るリュウキュウヨロイアジだと思う。忙しいが折角だからとタモ網で掬い採る。すると黒い腹鰭が目に付く。この体型に黒い腹鰭という事で直感でクボアジではないかと思い、同時に鳥肌も立つくらいゾクゾク感を味わう。クボアジはうちの定置網では初入網である。ここでは初確認で標本初確保となり、少し早いが嬉しいクリスマスプレゼントとなる。クボアジは魚ボラが始まる以前から探していた魚である。まだネットも普及していない時代で調べる術は図鑑のみであった。初版の検索図鑑を使って調べていたが黒くて長い腹鰭の特徴が目立って記載されており、分布域も南日本ということで普通に獲れても不思議ではないアジ科の魚というイメージであった。そしてサイズは小さいがその特徴の黒くて長い腹鰭に丸い体型のアジ科の魚を見つけクボアジだと思い込んでいた。ところがその魚は幼魚であり、定置網漁で成長していく過程を見て行くにつれリュウキュウヨロイアジの幼魚である事がわかり、誤同定であったことに気付く。ネットも普及し魚ボラも始まりクボアジが国内では稀少種である事がわかる。だが、同じく国内では稀少種の同じアジ科のマテアジは何個体も見つかっている。ここはアジ科に強いイメージなのでそのうち見つかるだろうと考えていた。それからも探していたが見つからず自分の中では幻の魚となっていた。更に各地で報告はされているものの、2年前魚ボラの学生OBが報告した鎌倉市から得られたクボアジの論文を見ると、各地で報告されているものの中にも私と同じでリュウキュウヨロイアジの幼魚の誤同定のものがあるとの事。なので、国内における標本に基くクボアジの確認された個体数は非常に少ないものと思われる。直ぐに大学へ標本を持ち込もうと思うが今日は夜に出席しなければならない集まりがある。でも、大学へ走っても間に合いそうなので魚ボラの先生に連絡を取る。ところが電話は繋がらず、今日持ち込むのを諦め冷凍保存し機会を見て持ち込む事にする。
 
網の隅に引っ掛かっている魚を発見

クボアジ



写真上クボアジ、写真下リュウキュウヨロイアジ

尾鰭下葉が痛んでおりちょっと残念

特徴の黒くて長い腹鰭



腹鰭が黒くて長い昔クボアジと思っていたリュウキュウヨロイアジ幼魚
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またお隣で オキイワシ

2024年12月11日 | 定置網・市場
 今日は定置網漁を終え市場での水揚げも終わるとまたお隣の定置網の人が来て、珍しい魚が獲れて冷蔵庫に入れてあるとの事。ワクワクしながら冷蔵庫へ見に行くとオキイワシである。オキイワシはここでは4年前に初めて確認(ブログ2020 12.22)され、それからは毎年確認されていた。ところが遂に昨年は1個体も確認出来ずに終わってしまった。そして今回2年振りのご対面となる。このオキイワシはここではこの個体で5個体目となり、うちの定置網を挟んだ両隣の定置網で得られたものであり、有難いことに全て頂いたものである。ところがうちを挟んで両隣で共に2個体以上得られており、とても有難い事なのだが間に挟まれたうちの定置網ではまだ得られていないのでなんだが切なさも感じてしまう。先日のイトヒキヒイラギ属の様にうちの定置網での初入網を願うばかりである。
オキイワシ


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遂にうちにも イトヒキヒイラギ属初入網

2024年12月03日 | 定置網
 先月お隣の定置網でイトヒキヒイラギ属の魚が獲れ、魚ボラの標本用に頂いた(ブログ2024 11.21)。2年前も同じくお隣の定置網から得られていた(ブログ2022 11.24)のでうちの定置網にも来ないのだろうかと毎日目を光らせていた。そして満を持して今朝の定置網漁でイトヒキヒイラギ属の魚を見つける。勿論、うちの定置網では初入網である。イトヒキヒイラギ属の魚は同定が自分では難しく、今回の個体がお隣の定置網で得られた個体と同種かどうかはわからない。だが、撮った写真を見比べる限りでは体側の黄色の斑紋や尾鰭後縁が黄色味を帯びているなどから同種の様に見える。でも、前回の個体は臀鰭第2棘が伸長していたのだが今回の個体は短い。折れてしまった可能性が高いが定かではない。魚ボラの学生も精査するには固定してからでないとわからないような事も言っていたくらい見た目だけではわからないのでいつもの様にあとは魚ボラに任せることにする。
イトヒキヒイラギ属


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