お魚三昧生活

鹿児島の定置網で獲れる魚や市場の魚、鹿児島大学総合研究博物館魚類ボランティア(魚ボラ)の事などを紹介します!

探していたタイワンダイ

2024年03月22日 | 定置網
 今日は定置網漁を終え市場で水揚げ作業を終えるとお隣の定置網船が帰港。水揚げ作業が始まるといろいろな魚が入ったカゴが運ばれて来る。何かいないか見ると大きめのチダイの様な魚が混ざっている。最近はチダイの中にヒレコダイが混ざっているのをよく見かける。今回もヒレコダイかなと思い、取り上げてみる。すると面長でヒレコダイではなくタイワンダイである。タイワンダイは昨年の11月にうちの定置網でも久し振りに獲れ、ブログでも紹介している(ブログ2023 11.11)。タイワンダイは探していた魚であり確かめたいことがある。実は昨年獲れた時にSNSに上げるとウオノエの研究者の方からタイワンダイからはまだウオノエが見つかっていないとの事。今度タイワンダイを見つけたらウオノエがいるかどうかを確認してほしいと言われていたのである。まだ見つかっていないとなると自分でもいつも以上に興味が湧きタイワンダイを探していたのである。早速タイワンダイの口を開き、口腔内を見てみるとウオノエの姿は確認出来ず。それならばと両方の鰓の中も隅々まで確認するが結局見つからず残念である。ウオノエが見つからなかったことを伝えるとマダイとタイノエの研究では、タイノエの寿命は6年くらいで、それより高齢のマダイには寄生が見られないことが報告されているとの事。だからマダイや他魚種でも大きな個体には寄生していないのかと納得。今までに小さなタイワンダイもここでは確認しているので今後に期待したいところである。
タイワンダイ



数日前に揚がっていたヒレコダイ
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探していたミナミホタテウミヘビ確保

2024年02月06日 | 定置網
 今日は港へ行くが時化模様。それでも出漁し定置網漁を操業。するとホタテウミヘビを発見。だが、いつも見るホタテウミヘビよりも体全体が黒っぽく見える。ウミヘビ科の魚はよく知らないので一応確保しておく。仕事が終わり改めて確保した魚を見るがやはりホタテウミヘビとは違う感じがする。そうなると探しているミナミホタテウミヘビだろうかと思い魚ボラの標本用に確保し持ち帰る。ネットで調べてみるが意外とミナミホタテウミヘビの情報がなくわからない。ウミヘビ科を検索図鑑で調べるのは自信がないが一応検索してみる。すると鋭い歯がなく顆粒状であり、この時点でホタテウミヘビの可能性はなくなる。そして背鰭起部の位置よりミナミホタテウミヘビとなる。ホタテウミヘビとミナミホタテウミヘビの違いが今まで自分ではよくわかっておらず、標本は確保しても同定は全て魚ボラに任せて来た。今までに確保して来たホタテウミヘビの標本の中にミナミホタテウミヘビも混ざっていたのではないかとも思っていたのだが、薩摩半島沿岸の魚類図鑑(ブログ2022 2.25)を作成するにあたりミナミホタテウミヘビの標本がない事がわかり、今まで見て来た個体は全てホタテウミヘビだったのだとわかった次第である。その為、ミナミホタテウミヘビはこの近辺にはいないのだろうとも思ったが、お隣の大隅半島では定置網から標本が得られているのでそれならこちらでも獲れるだろうとも思い探していたのである。今回ミナミホタテウミヘビを確保することが出来、これでまた薩摩半島沿岸の魚類図鑑の種数が1種増えたことになる。
大時化の中、定置網漁操業

ミナミホタテウミヘビ






歯は鈍く顆粒状で主上顎骨歯は歯帯をなす


背鰭起部は胸鰭中央上にある

後鼻孔の前後に肉質の小突起がある


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思う様にはいかない キビレヒイラギ

2024年02月02日 | 定置網
 1週間前に定置網漁でオキヒイラギが沢山入網し、そこから10個体のキビレヒイラギを見つけるもコバンヒイラギと勘違いして5個体を捨ててしまう。だが、1日で10個体も獲れたなら今後も続くだろうと思っていた。ところがオキヒイラギの入網は毎日あるもののその中からキビレヒイラギをなかなか見つける事が出来ずにいた。そして一昨日ようやく1個体見つけ、今日は2個体発見。だが、肝心のオキヒイラギの入網がガクンと減り、今後は厳しそうである。せめて捨ててしまい後悔している5個体分は確保したいと思っている。ヤンバルウケグチヒイラギや宮崎で見つかっているカドガワウケグチヒイラギなどまだ見ぬヒイラギ科の魚であれば後悔を補うには十分なのだが贅沢言っていられないので今後も地道にキビレヒイラギを探すしかない。あと2個体なのでどうにかならないものだろうか。
1月31日入網のキビレヒイラギ

今日は2個体入網

写真上キビレヒイラギ、写真中オキヒイラギ、写真下ヒメヒイラギ
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やってしまったキビレヒイラギ

2024年01月26日 | 定置網
 今週に入り大寒波到来。海は当然大時化となる。そうなると大時化明けの定置網漁に期待していた。そして3日振りに定置網漁出漁となる。ところが蓋を開ければ小さなオキヒイラギがメインの漁模様。帰港後に選別作業をするも面白い魚は見つからない。最後にこの小さなオキヒイラギを選別。混ざっている雑魚やヒメヒイラギを取り除く作業。せめてこのオキヒイラギの中にヒイラギ科の別種がいないだろうかと選別作業をしながら探す。すると下顎が太めの個体を発見。コバンヒイラギだろうと思い確保。その後も見つかり最終的に10個体見つける。更にネッタイヒイラギとミジンベニハゼも1個体ずつ見つかり、特にネッタイヒイラギは久し振りの対面となる。コバンヒイラギは今までに結構標本を確保して来たうえサイズが小さかったので大きめで綺麗な個体を残し、半分だけ標本用に確保する。大時化明けで期待していたが最後の最後でネッタイヒイラギと久し振りに対面出来たので良しとしていた。ところが仕事が終わり確保した標本を持ち帰ろうと再び見るとコバンヒイラギに何か違和感がある。コバンヒイラギは体型がもっと卵型な感じがする。なので口の中に指を入れてみる。するとコバンヒイラギの特徴である犬歯状の歯がないではないか。となるとキビレヒイラギとなる。家に帰り調べると以前にも自分で同じような事をしておりブログにも載せていた(ブログ2019 2.27)。キビレヒイラギはネット情報が少なく珍しい種と思われる。久し振りのネッタイヒイラギが嬉しく気を取られていたのかコバンヒイラギと思い込みキビレヒイラギを5個体も捨ててしまったではないか。ネッタイヒイラギの嬉しさを大きく上回り後悔する事となる。だが、今回10個体も入網しているのでまた獲れるだろうと今後に期待する。
漁獲されたオキヒイラギ

オキヒイラギの選別作業

最初はコバンヒイラギと思っていたがキビレヒイラギ

久し振りのネッタイヒイラギ

ミジンベニハゼ

選別作業でキビレヒイラギを10個体も見つけたのだが

キビレヒイラギ

両顎に犬歯状の歯がない
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ホッとしたカラスエイ

2024年01月20日 | 定置網
 今年も日頃の魚の事をアップして行きますのでお付き合いの程、よろしくお願い致します。先ずは年明け早々に起きた能登半島の震災により被災された皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。能登半島は我々定置網漁業者においてブリ漁の聖地であり、そこが壊滅的な被害に遭われとても驚いております。一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。

 さて、年が明け、長い正月休み明けの定置網漁を期待していましたが面白い魚はなく、それからも普通種の漁模様が続く。何もブログネタのない状況が続きもう月の半分が過ぎてしまう。そして昨日やっと久し振りにカラスエイが入網。まだ日が昇る前の辺りが暗い時間帯であり水中も暗く体盤も黒く見難い状況であったがアカエイとは違う泳ぎ方に見覚えがあり、直ぐにカラスエイと認識。他の魚と混ざる前に確保する。帰港後、水揚げ作業が忙しいのでカラスエイを籠に入れたまま漁協の冷蔵庫に入れて置く。仕事を終えてから漁協の冷蔵庫へカラスエイを見に行く。籠から出して写真を撮ろうとすると体盤の腹側に籠の跡が付いてしまっている。長い時間籠に入れっぱなしだった為、跡が付いてしまい失敗したと後悔。この状態では魚ボラの標本には出来ないので前回モノノケトンガリサカタザメを持って行った(ブログ2023 12.13)水産学部の食べる先生の方へ持って行こうかと悩む。取り敢えず大きな袋に移し替え一日置くことにする。そして今日、仕事終わりでカラスエイを見に行くと体盤腹側に付いていた籠の跡が消えている。これなら魚ボラの標本になりそうである。ホッとしいつもの様に研究室へと走り標本登録してもらう。
カラスエイ

体盤腹側に籠の跡が付いてしまう

一日置き、籠の跡が消える


カラスエイの歯


鹿大郡元キャンパス




黒い板で標本への光の反射を抑える


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クリスマスプレゼントはホシエイ

2023年12月25日 | 定置網
 今日は時化予報だった為、強風が吹いて来る前に定置網漁を操業という事でいつもよりも早い時間に出漁。それでも早くから風が吹いて来て時化の中での操業となる。船が揺れる中、大ダモで魚を掬い選別台へ降ろされると大きな黒いエイが出て来る。まだ辺りは暗く、更にエイ自体も黒くわかり難いのだが体盤に白い小斑点が破線状に並んでいるのが確認出来、ホシエイだと直ぐにわかる。ホシエイはここでは珍しいうえ獲れたとしても大き過ぎて魚ボラの標本用に確保していない。その為、薩摩半島沿岸の魚類図鑑(ブログ2022 2.25)にも標本写真ではなく水族館で撮影されたものが使われている。いつもは本船のクレーンを使い揚げるのだが今回の個体は大ダモに入るサイズであり小さく標本用に確保する。今日はクリスマスという事でプレゼントに珍しい魚を期待していたのだが、このホシエイが一応クリスマスプレゼントとなるのだろうか。小さいと言ってもうちの冷凍庫には入らない。大学へ走ろうかとも思ったが今日はクリスマスという事で学生も居るかわからない。漁協の冷蔵庫に入れて置いて後日持ち込むことにする。
ホシエイ




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大きな黒斑のないモノノケトンガリサカタザメ再び

2023年12月13日 | 定置網
 先日確保したアザハタが冷蔵保存限界であり、今日は丁度魚ボラの日でもあるので大学へ行く予定。ほかに何か見つからないかと今日の定置網漁で面白い魚を探す。すると突然大きなモノノケトンガリサカタザメが揚って来る。普段だとこの大きなサイズなら網を絞る時点で網の中にいるのはわかるのだが、今回は大ダモで掬って揚がって来るまで全く気付かず。突然の事で非常に驚く。見ると普通の個体ではなく、以前にも獲れた胸鰭中央に大きな黒斑がなく、胸鰭を中心に体全体に小斑点が散在している個体(ブログ2022 8.29)である。しかも今回の個体はその小斑点がまだら模様の様に非常に多い。今年の初めには体表に模様のないナルトビエイでもこのような小斑点が散在している個体(ブログ2023 1.17)が獲れている。同じ板鰓類という事で何か繋がりがあるのだろうか。モノノケトンガリサカタザメは大学の水産学部の先生から頼まれており、サイズは大きいものの運べるサイズなので一応確保する。
モノノケトンガリサカタザメ

胸鰭中央に黒斑はなく、体表に小斑点が散在




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遂に来た!アキイロイケカツオ

2023年11月25日 | 定置網
 先月から毎日のように定置網にイケカツオ、ミナミイケカツオの幼魚が入網している。そこでその中からある魚を探していた。そして遂に今日の定置網漁で発見。アキイロイケカツオである。アキイロイケカツオは2021年に隣の宮崎でその幼魚が見つかり、続いて石垣島でも成魚が見つかった日本未記録種である。そして今年の2月に日本初記録種として記載され、標準和名アキイロイケカツオと提唱されたまだ新顔の魚である。お隣の宮崎で得られた事をSNSで知り、こちらでも見つかるだろうと毎年探していた。今年は特に定置網にイケカツオの幼魚が多く入っていたので期待が高まっていたもののなかなか見つからず、同じくアジ科のミヤカミヒラアジやテルメアジなどが宮崎で見つかってからこちらで見つかるまでに何年も掛かっているのでアキイロイケカツオもやはりそんなに簡単に見つかるものではないのだろうとも感じていた。先月の終わりにはやっと体高の高い個体を見つけドキッとしたものの、見ると背鰭や尾鰭が黒い。アキイロイケカツオは背鰭や胸鰭、尾鰭が黄色みがかるのでその個体は普通のイケカツオであり奇形と思われる。今日はアキイロイケカツオを全部で3個体も発見。だが、そのうち2個体が尾鰭に欠落があり完全なのは1個体のみである。石垣島では見つかっているものの奄美などではまだ見つかっておらず、恐らく鹿児島県初記録と思われる。という事で直ぐにでも大学へ標本登録に行かなければならないのだが今日は土曜日である。土日は大学の門が閉まっており、先生やカードを持った学生がいなければ車で中に入ることは出来ない。魚ボラの先生や学生の多くは現在海外出張中である。残っている学生に確認するとやはり今日は車で大学内に入ることが出来ないみたいである。昨日も大学へ行ったばかりであり、月曜日にもアキイロイケカツオが獲れそうな感じがするので今回はうちの冷蔵庫で冷蔵して置き、月曜日に大学へ持ち込むことにする。
アキイロイケカツオ

今回は3個体

写真上:アキイロイケカツオ 写真下:ミナミイケカツオ

毎日イケカツオの幼魚が定置網に入網

先月獲れた全長に対して体高の高いイケカツオ(奇形?)

写真上からイケカツオ・ミナミイケカツオ・アキイロイケカツオ


アキイロイケカツオの体側の鱗
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意外と珍しかったネッタイヒイラギ

2023年11月20日 | 定置網
 今日の定置網漁では更に市場で水揚げ中、小さなオキヒイラギの中に1個体だけ体高が高く丸みを帯びた個体を発見。ネッタイヒイラギである。小さな個体ではあるが久し振りの入網である。以前の写真を確認すると6年前である。更に今までにコバンヒイラギなどと一緒にそこそこ獲れているものだと思っていたが改めて撮り溜めた写真を見るとあまりなく、ホソウケグチヒイラギ並でちょっと驚く。今までに鹿大に収めた標本をデータベースで調べると2009年以降標本登録をしていない事もわかる。これも悪い癖の思い込みだろうか。久し振りという事で記録的な写真だけ撮り、標本用に確保するのは個体が小さかったので必要ないかと考えていたが貴重な標本となる為、魚ボラの標本用に確保する。
ネッタイヒイラギ


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オキフエダイ初入網

2023年11月20日 | 定置網
 今日は定置網漁の操業を終え市場へ向け帰港中に活魚の中を覗くと誰が入れたのかオキフエダイが泳いでいるのを発見。オキフエダイはこの近辺では見つかっていて当然な魚なのであるが、今までに定置網や市場、夜間採集に素潜り採集などでも一度も見た事がなく探していた。それが今年の9月に夜間採集で初めて幼魚を採集し(ブログ2023 9.16)、初確認初採集したばかりである。今回は定置網で獲れたので定置網としても初入網となる。サイズ的にはまだ幼魚ではあるが夜間採集での個体よりもかなり大きく、見て直ぐにオキフエダイとわかる体色をしている。生きているが直ぐに氷水に浸け、魚ボラの標本用に確保する。定置網ではゴマフエダイは獲れるものの、同じく獲れて当たり前の珍しい魚ではないのだが、長年探していた魚であるので非常に嬉しい。今後もサイズアップしながら姿を現してもらいたい魚である。
オキフエダイ


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珍しいらしいタイワンダイ

2023年11月11日 | 定置網
 今日の海上は時化予報で定置網漁には出漁せずに陸で網の修理の予定であったが、港へ来てみると風は弱い。という事で出漁し定置網漁を操業。すると久し振りにタイワンダイが入網。前回の写真を見ると8年も前でその時もブログで紹介している(ブログ2015 7.7)。タイワンダイは他の定置網でも獲れており、市場に揚がっているのを何度か見ているので珍しいという感じはなかったのだが、今までの写真を見ると個体数は非常に少なくここでは珍しい部類に入りそうである。うちの定置網では初入網が15年前(ブログ2008 11.1)で今回の個体は4個体目みたいである。でも何でなのかわからないのだが珍しい感覚があまりない。一般的に知られたタイの仲間であるが故にそう思うのだろうか。これからはもう少し珍しいという目で見て行かなければ罰が当たりそうである。
タイワンダイ



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2年振りにヒシカイワリ入網

2023年10月26日 | 定置網
 今日は定置網漁で久し振りにヒシカイワリが入網。ヒシカイワリは昨年定置網や市場でも全く姿を見ることが出来ずちょっと心配していたが、2年振りに出会うことが出来た。時期的というか、まだヒラアジ類が本番となっていないにも関わらず、早めに出て来てくれてホッとする。これでこれからヒラアジ類のシーズン突入となるのだろうか。ここ近年は南方系のヒラアジ類の日本未記録種に出会っていないので、今年こそはと期待に胸を膨らます次第である。
ヒシカイワリ



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久し振りのニジョウサバ

2023年09月01日 | 定置網
 今日は定置網漁でここでは珍しいニジョウサバが入網。うちの定置網では久し振りの入網である。ニジョウサバは16年前に初めて定置網で獲れ、ブログでも紹介している(ブログ2007 8.27)。それからはポツポツと市場にも揚がり、翌年には若魚も獲れている(ブログ2008 10.18)。その後は徐々に増えて来るものと思っていたがパタッと姿を消し、5年間で1度市場に揚がるかどうかであった。ニジョウサバの側線は第一背鰭下方付近から分枝して背面方向と腹部方向へと分かれ、尾柄部付近でまた結合する。それがニジョウサバの特徴であり和名の由来になっている。水揚げも終わり、陸で網修理をしているとお隣の定置網にも入網したらしく、種名の問い合わせで携帯にニジョウサバの写真が送られて来た。また今後もポツポツと揚がり、また姿を消すのだろうか。
ニジョウサバ

側線が腹部の方へも分枝している


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ジンベエザメの計測・採血

2023年07月26日 | 定置網
 今日は定置網漁で網を起こしていくとジンベエザメが泳いでいるのを発見。ジンベエザメは昨年の同じ7月にも入網(ブログ2022 7.7)しており1年振りの出会いである。ジンベエザメは現在地元水族館から網に入ったら連絡するように頼まれている。サイズ指定があり4~5mという事で網を絞りサイズを測ると5mない位でジャストサイズ。水族館に連絡する。ジンベエザメは網に残して他の魚を漁獲して帰港。水族館が来るまでは1時間以上かかるのだが、今日はたまたま網業者が網の中を水中カメラで調査する日であったので先にその調査に行く。網の中を水中カメラで見るとジンベエザメが泳ぐ姿も確認。調査が終わり帰港すると水族館の職員が来ていて再び沖へ行き定置網を起こす。今回水族館から依頼されていたのは体の計測と血液を採取し自然下の個体と飼育個体を比較するとの事であり、飼育個体と同じ位のサイズと頼まれていた。先ずは網を起こす途中で水族館職員が網の中に潜り雌雄を確認。その後、網を絞り上げ職員がジンベエザメの体の横に入り、計測や血液採取を行う。ジンベエザメは大きな体の割に大人しく、死んでしまったのかと思う程動かず作業はしやすそうであった。だが、採血時になかなか採取出来ず注射針を長さや太さを色々と替え悪戦苦闘。水族館では立ち泳ぎをさせて採血するらしく、魚が体を動かしていないと難しいのかもとの見解。採血は第2背鰭の基部から行い、時間をかけ何とか採血する事が出来た。全ての作業が終了すると網を少し沈め、あとは水族館の職員の方達が網の外へジンベエザメの頭部を誘導しジンベエザメを再放流し終了となる。来年は現在飼育している個体を自然下へ再放流するとの事でまたジンベエザメの採捕依頼をするらしいので、今度はうちの網に入網したジンベエザメを水族館に泳がせてみたい想いである。 
ジンベエザメが入網


網業者による定置網内の水中カメラ調査

水中カメラに映る網の中を泳ぐジンベエザメ


地元水族館の職員が中に入り計測に採血を行う


背鰭の後ろから採血


網を沈め水族館職員が網の外へジンベエザメの頭部を誘導


ジンベエザメを再放流
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初確保 イバラタツ

2023年07月15日 | 定置網
 今日は定置網漁を終え市場での水揚げ作業も終え船を繋ぎ再び市場に戻って来るとお隣の定置網船が水揚げに帰港。するとタツノオトシゴが獲れたと活魚水槽に入れている個体を見せてくれる。見ると体輪背側に鋭く硬い棘が尾に向かい沢山確認出来る。このようなタツノオトシゴ属はここではまだ見た事がなく、直ぐに魚ボラの標本として未確保である事がわかった。標本用に確保したいところではあるが、生きた状態で持ち帰って来ていたので水族館用だろうと思う。一応、ここではまだ見た事がないタツノオトシゴだと伝える。するとこの小さな個体だけの為に水族館に連絡するのも面倒そうで私に水族館にやってもいいし、私の好きにしていいと託された。という事で貴重なので標本にすると伝え魚ボラの標本用に確保することが出来た。その方の気が変わらないうちに直ぐに氷水に浸け標本確定。この個体を手に取った時、急激な動きをして沢山の棘が手に当たり痛い。この棘は身を守る武器として役に立っているみたいである。家に帰り調べると直ぐにイバラタツである事がわかる。イバラタツはここでは初記録であるが薩摩半島沿岸の魚類図鑑(ブログ2022 2.25)に載っているかどうか確認する。すると生態写真は載っていたが標本写真はなく、これでまた1種標本写真が追加となる。自分用にもホルマリンは使わず鰭は立てずに標本写真を撮る。今回は水族館に連絡する前で本当に運が良かった。
イバラタツ




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