今日は市場で定置網漁の水揚げ後、他の定置網の水揚げ状況を見に行くと、お隣の定置網船がまだ水揚げ作業中。魚が選別され、残された雑魚の中を見るとサクヤヒメジの姿を発見。更にその雑魚の中を探すと10個体ものサクヤヒメジが見つかる。まだ水揚げ作業も中盤であり、この後も待っていればまだ多くのサクヤヒメジが出て来ると思われる。だが、自分も仕事に戻るのでこれ以上見ていられないのが残念であるが、最終的にどのくらいの個体数が混獲されていたのか気になる。数年前にここの海域の一番北側の道の駅にサクヤヒメジが沢山パックに入って売られていて驚いた。15年前に初めて見つかり8年前に新種となったサクヤヒメジ。新種の魚とは未だに稀少種であるのが当たり前であるので、サクヤヒメジは例外で珍しいパターンである。自分としては一般的に普及してもらいたいと願っており、徐々に近づいている感じになって来た。だが、個体数が増えて来ても未だに雑魚扱いである。ここを打破しないとサクヤヒメジを一般の人にも浸透させるのは難しいだろう。
今日は定置網漁の操業中、ロープに絡まってオナガザメの仲間が揚がってくる。サイズが小さかったのでいつものニタリだろうと思っていたらマオナガである。オナガザメの仲間は広い場所でないと泳げないのか、よく定置網に入るニタリも網を絞っていくと途中で転んでしまう。今回のマオナガも何らかの状況で網の中で転んでしまい、ロープに絡まったと思われる。ニタリは毎年数個体は入網するが、マオナガは何年かに1個体入るかどうかでここでは非常に珍しい。しかも入ったとしても船のクレーンを使わないと揚げられない程の大きな個体ばかりで今回の個体はいつものニタリ程のサイズで小さく非常に珍しい。ニタリは魚ボラの標本用に確保しているが、マオナガの標本は腹から取り出した胎児を確保しているのみ(ブログ2009 3.5)で親魚は大き過ぎてまだ確保できていない。今回の個体は珍しく小さいので標本用に確保したいところではある。だが、見た目は綺麗なものの、かなり腐敗が進んでいるらしく、臭った匂いが広く漂っている。この個体を港に持ち帰ったら周りに迷惑で、更にこれを車に積んで大学まで走ることを想像したら車や運転に支障をきたすのは必然である。という事で勿体ないが今回も標本用に確保するのは見送る事に。せめて胎児がいないかと思い確認すると雄個体であり、本当に残念でならない。