先日「不動産取引の視点で読み解く民法改正中間試案」なるセミナーに出席した。
現行民法において「財産法(総則・物権・債権)」は明治29年に公布(同31年施行)され、約120年経過し、社会・経済状況の変化に対してかなり遅れており、平成21年より「分かり易いものに見直し」する方向で進められていて、学者や弁護士、有識者を中心に今年2月に中間試案が出た。
今回とても興味深かったのは「損害賠償額の予定と拘束力の変更」であった。現行民法では「第420条(賠償額の予定)1.当事者は、債務不履行について損害賠償の額を予定する事が出来る。この場合において、裁判所は、その額を増減することはできない。2.賠償額の予定は、履行の請求又は解除権の行使を妨げない。3.違約金は、賠償額の予定と推定する」となっているものの、現実の裁判では「1項後段」は必ずしも貫徹されておらず、過大な予定額は、信義則、公序良俗の一般条項を活用して額を縮減する裁判例も少なくないものの、1項後段の条文の存在が額の認定に当たり裁判官の判断を抑制的に機能しているとみられ、改正法では後段は削除する方向とのこと。つまり損害賠償額は実際にそれだけの損害を受けたかどうかを判断された上で、これまで以上に増減出来ることになりそうだ。これって結構画期的である。
そもそも旧態依然とした法律は、パソコン・携帯電話やインターネットの復旧した現代社会とは当然不具合が生じるのは勿論なのだが、一番の違いはその当時と人間性が全く違って来たことであろう。だから今後も色々な改正がどんどん進み、六法全書はさらに分厚くなるだろう。
想定外が多過ぎる現代社会である・・・