母親の死体はどぶに捨てられた
地味な容姿の朝霧は京から流れてきた姉女郎の霧里に仕込まれ 霧里が死んだ後も仕事を続け 年季明けが近づいていた
火事での仮宅暮らしで出逢った男
下駄を見つけてきてくれた
簪を直してくれた
大事な男
なのに男は人を殺した
男はいなくなり諦め 身請けしてくれる相手も決まった
それなのに半次郎からの文
会って抱かれて・・・見つかった
仕置き部屋へ押し込められてー
妹女郎から半次郎の死を知らされてー
朝霧は恋しい男の後を追う
三途の川を渡るまでに追い付けただろうか
恋しい男(ひと)に「花宵道中」
茜は好きな男に抱かれたかった
知らない男に抱かれたくない
でも好き嫌いが許される仕事じゃない
そんな茜に他の店の水蓮が抱かれる時の心得を それがどういうものか身をもって教えてくれる
茜の姉女郎の八津が決めてくれた初めての客は 八津の姉女郎の朝霧を身請けするはずだった男
茜と朝霧は似ているそうだ
互いに恋しい別の相手を思いながらー時間(とき)を過ごすのだ 「薄羽蜉蝣」
母親の死体のその横で父親は自分の娘を犯した
自分の子じゃあるまいとの勝手な思い込み
病気の母親は薬をくれる男が自分の子供二人を触り淫らな楽しみをしていると知りながら何も言わなかった
娘を犯し逃げた父親
娘は「弟だけは売らんといて」と言った
両親の借金背負い売られた娘は霧里と呼ばれるようになる
際立つ美しさゆえ客がつき 馴染みの客をとられた力ある女が怒り 霧里は江戸へ流される
嫌がらせされ美貌に相応しい大店には行けず 山田屋の女郎になった
菊由という気のいい女郎と仲良くなるも 菊由は結核で血を吐いて死ぬ
看病していた霧里にも病気はうつっていた
病んで霧里は夢を見る
懐かしい弟が会いにきてくれた
はかない女の最期を憐れんでか死神の見せた夢
霧里は一人で死んでいった
半次郎は東雲という名前があった
天女のように美しい姉がいた
姉は一人で借金背負いー江戸へ行った
職人となる夢を持つ東雲はついていかなかった
整った顔の東雲は大店の娘に惚れられ婿に望まれるも断る
どうしても東雲が欲しかった娘は 職人として腕が使えなくなるよう人を頼み東雲を襲わせる
東雲は祝言の夜 それを知り 娘を抱くことなく生活する
自尊心傷ついた娘は東雲の悪い噂を流し 京にいられないようにした
仕事で江戸へ来た東雲の半次郎は 嫌な感じがする商人の吉田屋と知り合う
連れていかれた店で 少し前に知り合った娘の姿を見た
朝霧ー 酒が入れば肌に赤い花が咲く女
それが自慢の吉田屋は 東雲の前で朝霧を酷い抱き方をする
東雲の半次郎は霧里が朝霧の姉女郎だったことを知る
そして幼い日の事件を思い出す
姉にのしかかり 止めようとした自分に怪我させた男
借金残していなくなった父親は 江戸で大店の婿におさまり 花街で好き放題していたのだ
朝霧の初見世までの間 霧里が代わりに吉田屋に抱かれていたと言う
霧里は言わなかったのか
娘だと
気付かなかったのか 吉田屋は
自分達 姉弟は吉田屋にとって何だったのだ
いや あんな男がいたから 姉は早く死んだのだ
朝霧はいじめられるのだ
東雲の半次郎は吉田屋を殺した
彼は朝霧との 朝霧の幸せを夢見ていたのだ 「青花牡丹」
可愛いがってくれた姉女郎の朝霧は身請けも決まっていたのに 自殺した
周囲を見てきて男に惚れたって幸せにゃなれないと八津は思い生きてきた
貧しい村 娘を売らないと生きられない
八津はしかし気になる男が出来てしまう
髪結い
男も八津を思っている
逃げようとまで言ってくれる
再会した姉の水蓮は間夫と逃げた
まだ捕まってはいないけど
十六夜に
約束した場へ八津は行くけれど
新吉原で生きていくのだと告げた
「十六夜時雨」
たいそう美しいが緑は人前で声が出せなかった
美しいゆえ鬼の子と言われたこと
初見世を控え緑の姉女郎も困っていた
そんな緑に声を取り戻してくれたのは三津
だが三津は病気で呆気なく死んでしまう「雪紐観音」
最後は山田屋の女将の勝野の物語
これまでケチとか悪くばかり書かれてきた勝野と髪結い弥吉の関わりが明かされる
女達
哀れで美しくたくましい
気概
気を張ること それすら失えばただの売女になってしまう
女性セブンで漫画化され連載中
父親に犯され しかも顔の美しい女は好きでない つまらないと言われ
誰よりも美しく あったかい心も持っていた霧里
いわば姉の仇をとった東雲の半次郎
半次郎の後追い心中した形の朝霧
哀しさはこの三人の物語が群を抜き心を打ちます