「せんせい。」は、重松清の作である。
この本は、様々な先生が登場する短編集となっている。
・ 白髪のニール(高校の物理の教師)
・ ドロップスは神さまの涙(小学校の養護教諭)
・ マティスのビンタ(中学校の美術教師)
・ にんじん(小学校6年担任の教師)
・ 泣くな赤鬼(高校の野球部指導教師)
・ 気をつけ、礼。(中学校社会の教師)
主人公であったり、主人公とかかわる教師であったりしている。
登場する先生は、どちらかというと、立派な言動をする人は少ない。
生徒からギターを習って、ロックン・ロールを歌いたがる先生。
保健室でぶっきらぼうな先生。
特定の生徒を毛嫌いしてしまう先生。
才能のある子を伸ばしきれない先生。
甲子園を目指しながら、どうしても壁を破れなかった先生。
借金まみれになって、姿を消してしまう先生。
…教師らしさを残しながらも、なんだかとても人間臭い言動をする登場人物となっている先生ばかりだ。
昔は、「先生様」と言われ、教師が一目置かれながらちやほやされた時代もあった。
多少の問題があっても、「そういう先生もいる。」と、寛容に受け止めてくれていた。
今は、この本に登場するようなことをしていると知られれば、教師を辞めなければいけないような時代になっているとも思った。
しかし、完璧な先生なんていないのだ。
でも、現代は、そうでなければならないと求められている世の中でもある。
書名は、「せんせい。」であって、「せんせい」ではない。
「。」が付いているところに、呼びかけているような感覚を感じる。
先生に言いたいことがある。
先生を呼んでいる。
訴えているようにも感じるのは、私だけではないだろう。
教師だって、人間なのだ。
だから、いい加減でいい、とは言わないが、教師だって悩みながら生きているのだ。
そういう人の方が、人を育てるためにはふさわしい資質をもっていると思うのである。
薄い短編集だが、いい本だなあと思った。
BOOKOFFで108円で買った本だったけど、得をしたような気分にもなったのであった。
ところで、昨日書いた高校サッカーの日本文理。
今日は、1-1から作陽(岡山)をPK戦の末に、7-6で下した。
これで、ベスト8だ。
お見事!
まだまだ行ける。
がんばってほしいなあ。